ミサイル発射の「次」に迷う北朝鮮の切実な事情 金正恩「核実験したい」と「経済改善」の狭間で…

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2017年9月16日に、移動式発射台から撃ち出される北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12」。2022年10月に発射された弾道ミサイルも同型だと分析されている(写真・朝鮮通信=時事)

北朝鮮は2022年10月4日、日本を通過する弾道ミサイルを発射した。

発射されたのは中距離弾道ミサイル「火星12」で、飛距離は最長4600キロメートルと推定されている。北朝鮮からアメリカ軍の基地があるグアムまで約3400キロメートル。ここを打撃するためには十分な距離であり、北朝鮮は着々とミサイル開発を進めている。

今回の発射は、ウクライナ戦争など欧州に関心を集中せざるをえないアメリカの隙を狙ったもの、という分析がある。アメリカからみるとそうなるだろう。しかし、異なる事情もある。

北朝鮮は2017年に「国家核武力の完成」を表明し、2022年9月8日に行われた最高人民会議(日本の国会に相当)で核戦力政策に関する法令を採択・制定している。金正恩総書記も同日の演説で、「核武力政策を法律的にも完全に固定させるという歴史的大偉業を成し遂げた」と自画自賛した。

計画に従ったミサイル発射

ということは、北朝鮮の核やミサイル開発は、事前に入念な計画を立てたものであり、それを着々と実行していることになる。そのため、北朝鮮としては現在の国際情勢とは別に、「予定通り、計画通り」の発射だ。

さらに、「北朝鮮は7回目の核実験を行うのではないか」との見方が広がってきた。2022年に入ってから、アメリカの衛星画像で、核実験に向けた実験場の動きが数回にわたって観察されているため、これまでも核実験の実施が間欠的に取り沙汰されてきた。また、10月10日は朝鮮労働党の創建記念日だ。北朝鮮には節目の時期に国家的成果を誇示する傾向があり、核実験実施の可能性が高まっている。

一方、「10月10日ごろに核実験をするという雰囲気にはない。それよりは国民生活の改善・向上が最重要課題であり、経済の改善に集中しているのが実情だ」と、中国など北朝鮮の内情に詳しい関係者は口をそろえる。

確かに経済分野での動きはある。9月26日、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市から、その対岸にある北朝鮮・新義州市を経由する鉄路による貿易ルートが再開した。すでにこれまで、海路と陸路(トラック)による貿易が細々と行われてきたが、新型コロナウイルス感染症の発生・拡大で2020年1月下旬以降、国境を閉鎖した北朝鮮にとっては本格的な中朝貿易の再開となりそうだ。

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