「40~50代からの後半生」充実する人しない人の差 毎年1テーマ勉強を10年続ければ10領域に精通
「至誠敬愛」と「一燈照隅」。どちらも、気持ちの鏡になってくれるような表現でした。そこで迷わずこの2つをくっつけて座右の銘としたのですが、その効果は絶大でした。
ある意味、崇高なものを「自分の言葉」にしたせいで、ものの見方が劇的に変化したのです。誰に強いられることもなく、物事の選択がそれまでとは変わっていきました。今でも毎年の年次計画の冒頭にこの言葉を書きつけて、自分自身と対話しています。
大みそかに年次計画の採点をする
③PDCAを廻す
3つ目のステップ。それは、PDCAを廻すことです。
PDCA、すなわち「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」という行動プロセスを存分に実人生に活かすこと。それが、後半生の醍醐味です。
大みそかに必ずしていたことがあります。それは、年次計画の採点です。年次計画の項目を実際どれだけ達成できたか。各項目を振り返り、その状況に応じて「今年は100点満点中何点だったか」と自己評価する。それで、1年を終えました。
およそ70〜80点というのが、毎年の成績です。100点満点の経験はありません。ですが、これはとてもよい振り返りになりました。振り返ることが明日、すなわち次の年のエンジンになるからです。
「よし、来年こそは……」
自然に前向きになれ、未達の30点が新年の到来を寿いでくれる気さえしました。これが、自己採点の良さです。後半生になってからは、他人の評価は無意味とまでは言いませんが、効果はさほどありません。ここまで述べてきたように、自分と本音でどこまで対話できるか。要は、自問自答できるか、です。
この〝歳末自問自答〞を踏まえ、年明け三が日に、新しい年次計画と中期計画を策定します。そうすることで、短期と中期と長期がつながっていくのです。
ちなみに、前ページの図に〈今年のテーマ〉に、「戦国時代〜明治維新について深く学ぶ」という項目がありますね。30代から40代の頃、毎年テーマを1つ決め、それについて深く勉強するということを自分に課してきました。
これまでのテーマは「臨床心理学」「歎異抄」「組織行動論」などバラバラでしたが、非常に有効な手段だったと実感しています。なにしろ3年続ければ、3つの新ジャンル。10年続ければ、10個の新領域に精通することができるのですから。
しかもそれだけではありません。この試みには、自分自身の危機意識があったのです。
それは、「覚える」作業が自分の日常から欠如しているという危機感です。
本も読みっぱなし。仕事の苦労も喉元過ぎれば、そのままスルー。学生時代の暗記や熟考も、気づけば前世の自分のような感がある。あれだけ酷使していた頭脳は、社会人の名のもとにほったらかし……。
おそらく高校受験や大学受験以降、「勉強する」「暗記する」こととは無縁の日々をあなたも送られてはいませんか。単語カードを作ったり、まとめノートを作ったり、あるいは10回同じことを書いて覚える作業など、ここ数十年されていないのではないでしょうか。
受験期の詰め込み教育の功罪は、世間で指摘されている通りかもしれません。ただし、あの時期に覚えたことは今でも忘れず、その後の知識の土台となっていることも事実です。
歳を取ると記憶力は低下する。
一方、若い頃のように「覚える」必要がない。だから、努力しない。
そして、いろいろなことを忘れてしまう。
帰結は明らかです。流れに身を任せれば、私たちの知識・教養は低下の一途を辿ってしまいます。思えば実に、もったいない限りです。
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