「みんな~」「絶対~」と言う人が損する当然の理由 ミスや失敗を指摘する際は「事実の指摘」をする

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1つの例だけをとって、「◯◯すると、いつも○◯になる」と、すべてのことに当てはめてはいけません。こうした「過度の一般化」は避けたいものです。1つや2つの事例をもとに、「私はいつも◯◯になる」と悲観するのでは、いろんなことに挑戦できません。

たしかに、100回中100回続いたら、そこは考えてやり方を変えたほうがいいといえます。しかし、1、2回続いただけで「私はいつも◯◯になる」「いつもこうだ」と言うのは、過度の一般化に当たります。

以前、有名な方を名指しして、「私は、あの人と友達なんだ」と言ってきた人がいました。私はびっくりして「え? それはすごいですね。今でも、よく会うのですか?」とお尋ねしたら、「大学が同じで、大学のときに1回だけ遊んだよ」と返されてもっと驚いたことがあります。これもある意味、「過度な一般化」といえます。「1回遊んだら友達」というのも、極端です。

「べき」「ねばならない」を手放す

リーダーにかぎらず、どんな人であっても、人間関係が苦しくなりがちな人には特徴があります。それは「べき」や「ねばならない」という思考回路が強い人です。

『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「時間にはゆとりをもって行動すべき」

「与えられた目標は絶対クリアせねばならない」

「仕事が終わっていないのに定時で帰るべきじゃない」

こうした「べき」「ねばならない」が強い人は、自分で自分をルールで縛ってしまいます。そして、やりすぎて苦しくなってしまうのです。これを相手に押しつけるようになると、今度は人間関係がギクシャクしだします。ルールばかりで相手も苦しくなるのです。

「メールにはすぐ返信すべき」という価値観を部下に押しつけたり、「自分が指示した仕事が終わらないうちに帰るなんて」と部下に対してイライラしてしまったりします。こうした「べき」「ねばならない」は、個人の価値観そのものです。価値観が多様化した今の職場で、それを強くもってしまったら、人と衝突する原因になりますし、自分もまたつらくなるものです。

リーダーになったら「べき」「ねばならない」をなるべく手放すようにしましょう。部下と不必要な衝突を避けるためにも、自分の心を守るためにも大切なことです。お互いが少しずつ折り合いをつけ、できることを探すこと。そうしたことが建設的な行動、賢明な選択といえるのです。

「『べき』と思っていたけれど、少しくらいいいか」の気持ちが、自分の気持ちを軽くし、人間関係を好転させることもよくあることです。

岩井 俊憲 ヒューマン・ギルド代表

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いわい としのり / Toshinori Iwai

1947年、栃木県生まれ。早稲田大学卒業。1985年、有限会社 ヒューマン・ギルドを設立。代表取締役。中小企業診断士、上級教育カウンセラー、アドラー心理学カウンセリング指導者。ヒューマン・ギルドでカウンセリング、カウンセラー養成や公開講座を行うほか、企業・自治体・教育委員会・学校から招かれ、カウンセリング・マインド研修、勇気づけ研修、リーダーシップ研修や講演を行っている。「勇気の伝道師」をライフワークとしている。『人を育てるアドラー心理学』(青春出版社)ほか、著書多数。

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