春節消費は序の口?沸騰する中国人猛烈買い 閑散期の小売店には干天の慈雨

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百貨店にとっても春節は干天の慈雨となり、大手では、増税前の駆け込み消費が始まっていた、14年2月の売り上げを上回る見通しだ。

来店客のお目当ては高級時計や化粧品など。中でもロレックスの人気は高く、「時計売り上げの3割を占める」(大丸松坂屋)。最近ではメード・イン・ジャパン製品も人気で「家族連れにはミキハウスの子供服などが売れている」(三越伊勢丹)という。

商戦はむしろこれから

松屋銀座店の免税品売り上げ割合は平時で1割強だが、春節期間中は3割程度に達したもよう。関西の大丸心斎橋店も3割近くに達している。

中国人向け商品の開発にも力が入る。たとえば紳士服ダーバンでは、いかり肩が多い中国人の体型に合わせたスーツ(約14万円)を、三越銀座店限定で販売している。

もっとも、商戦はむしろこれからとの声が多い。総合免税店に時計などを卸すドウシシャのインバウンド担当・加藤亮氏によると、「3~4月の桜の時期に向けて、春節よりすごい引き合いが来ている」。桜の開花に合わせて北上するつわものもおり、「14年は(青森)弘前店で買い物する人も多かった」(ビックカメラの堀越部長)というから、今年も期待が高まる。

こうした中、「在庫を潤沢にし、売れ筋のモノを確保しておきたい」(ラオックス)と、各社とも意欲満々。中国人観光客の勢いは続きそうだ。

「週刊東洋経済」2015年3月7日号<2日発売>「核心リポート06」を転載)

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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