次期英首相は直面する三重苦にどう立ち向かうか インフレ、景気後退、エネルギー価格高騰が襲う

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英ポンドは数十年ぶりの安値付近に低迷し、政府の借り入れコストは前例のないペースで高騰。英国株は記録的な不振に見舞われている。次期英首相を決める与党保守党の党首選結果を待ち構えているのは、このような悲惨な市場の状況だ。

ポンドは今年すでに対ドルで15%近く下落し、2016年の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票以降で最低の月間パフォーマンスを記録した。一方で、企業の借り入れコストは、イングランド銀行(英中央銀行)による6会合連続の利上げを受けて大幅に上昇。インフレが制御不能になるとの警告が発せられる中で、追加利上げ観測が高まっている。

ある経済団体はエネルギー価格の高騰に言及し、英国が既にリセッション(景気後退)のさなかにあるとの見方を示している。家計支出や実質賃金の減少が幅広い業種でストライキを引き起こしている。

党首選の勝者はロンドン時間5日午後0時半(日本時間同8時半)に公表される予定で、トラス外相になる公算が大きいと受け止められている。投資家は勝者の打ち出す政策が英資産の混乱を緩和するのか、あるいは悪化させるのかを注視する構えだ。ストラテジストらは、トラス氏が勝利した場合、減税の財源確保で多額の借り入れを行い、英国の財政基盤をさらに悪化させかねないと警戒する。

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スタンダード・バンクのスティーブン・バロー氏はトラス氏について「信じられないほど困難な時期に経済のバトンを受け取る。彼女がバトンを落とすかもしれないことを示唆する臆測がすでにあり、ポンドに弱さが見られる」と指摘した。

以下に英国市場の動きをまとめた。

英ポンド

今年に入って急落したポンドは日本時間5日早朝時点で、1ポンド=1.15ドル強と、1985年以来の安値まで0.02ドル弱の水準。

英国債

英2年国債利回りは3.1%を突破し、08年の世界金融危機以来の高水準に達しており、債券相場急落の最悪期は過ぎたとの投資家の期待は打ち砕かれた。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会(MPC)と関連するスワップ取引では、利上げ観測が高まっており、政策金利は年末までに1.75%から2倍強に引き上げられる見通しが織り込まれている。

英国株

国内経済に大きく依存している企業で構成されるFTSE250指数は、輸出企業中心のFTSE100指数に対し、年間パフォーマンスが過去最低となる方向にある。FTSE100指数は、資源高の追い風を受ける鉱山会社やエネルギー会社に加え、ポンド安の恩恵を受ける輸出業者が引き続き支えている。

原題:Markets Scream Warning Over New UK Prime Minister’s Mammoth Task(抜粋)

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著者:Alice Gledhill

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