古いゴルフファンは知ってのとおり、1960年代から70年代にかけて、米国ツアーのスーパースターは、アーノルド・パーマーにジャック・ニクラス、それにゲーリー・プレーヤーを加えてのビッグ3。その頃の自分は、やっとプロテストに合格して、道を歩いてもまだ誰も自分のことを知らない状態。ビッグ3のテレビ番組を見ては、こんな世界もあるんだと心熱くしていたんです。
プレーぶりは、ジャック・ニクラスとゲーリー・プレーヤーが比較的、手堅いゴルフ。逆にアーノルド・パーマーは華やかで攻撃的。実は、このパーマー型のゴルフにあこがれていましてね。いつかこんな選手になってみたいと思っていたんですが、当時の自分はとてもおこがましくて口には出せませんでした。ですから、今でも心の中でアーノルド・パーマーは別格です。ジャックやゲーリーには、「や~久しぶり」と言って腕を肩に回してあいさつできるんですが、パーマーには握手をして頭を下げるのが精いっぱい。
「イサオ、よく来たね」
そのパーマーに、番組で自宅まで会いに行くと、その日は体調が悪くとても会える状態ではなかったようです。では工房だけでも番組のために、と見せていただき帰ろうとすると、誰から聞いたんでしょう、自分が来ているのを知って部屋から出てきてくれたんです。「イサオ、よく来たね」、握手をしながら、テレビにかじりついてあこがれた頃、米国ツアーに温かく迎えてくれたあの頃、いろんなことを思い出し自然に涙があふれました。ゴルフはいいもんだ。一生懸命になればなるほど、数多くの親友ができるものです。
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