ついに引退、JR北「キハ281系」は何がすごかった? 全盛期は函館―札幌間を3時間以内で結んだ
キハ281系の振り子装置は、1989年に登場したJR四国2000系をベースとした制御付自然振り子装置を採用している。先頭車のキハ281形に運行区間の線形マップをインストールしたコマンドコントローラ(CC)を搭載していて、CCから各車両のチルトコントローラ(TC)に指令を送り、カーブが始まる前に予め車体を傾斜させることでカーブ区間の通過速度をアップさせている。車体傾斜角度は5度。曲線通過速度は本則+時速30kmとした。
1992年1月に製造された試作車キハ281-901・902の振り子台車は、国鉄381系やJR四国2000系で実績があるコロ式を採用した。この方式は台車枠上に円筒形のコロを配置し、その上に車体を支持する振り子梁を載せる構造。振り子梁は下部が円弧状になっており、車体と共にコロ上を左右に傾く仕組みとなっている。
コロ式は雪や埃がコロと振り子梁の間に侵入すると動作不良の原因となるので、コロの周囲はカバーされているが、キハ281系では北海道特有のパウダースノーの侵入を防ぐために特に密閉度を高めていた。
キハ281系試作車が登場した当時、鉄道総研ではコロ式に代わる振り子方式として、ベアリングガイド式を開発。1992年7月に落成したJR四国8000系試作車に初めて採用した。ベアリングガイド式は振り子梁の円弧部分に合わせてガイドレールを設置。台車枠に固定したボールベアリングのボックスでガイドレール・振り子梁を挟み込む構造となっている。ベアリングガイド式は密閉度がより高まるほか、コロ式よりも重心を下げることも可能となっていた。
ベアリングガイド式振り子装置を初めて量産採用
JR北海道でも、1992年10月に製造したキハ280-901にベアリングガイド式の振り子台車を装着して、コロ式のキハ281形と比較試験を行った。その結果、キハ281系の量産車ではベアリングガイド式を正式に採用した。一方、JR四国8000系の量産車は実績があるコロ式を採用したため、本格採用はキハ281系が最初となった。
なお、キハ281-901・902はコロ式のまま営業運転に入ったが、2005年に実施された重要部品取替工事の際にベアリングガイド式台車に交換している。
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