大手ホワイト企業への転職で地獄を見た男の告白 飲み会で人事評価、連日エクセルで単純作業…
「それに、10歳上の先輩も自分と同じ仕事をしている姿を見て、自分が若いからこの仕事をしているわけじゃないんだなって気づいて。このままだと、今までのキャリアが無駄になってしまう。せっかく必死に勉強してきたのに、使い物にならない人材になってしまうんじゃないかって不安になりましたね」
飲み会こそが「人事評価の場」
会社の飲み会も独特だった。入社して間もなく安斎さんの歓迎会が開かれた。主役だった手前、2次会までは参加。3次会にも誘われたが、すでに深夜2時を回っていたため、その日は挨拶をして帰宅した。すると、翌日に上司から個室に呼びだされた。
「ちょっとさぁ、飲み会はコミュニケーションなんだから。みんな、君が新しく入ったから歓迎しようと思って先輩たちも集まってくれたのに。うちの会社は見ての通り、ルーティンワークがメインだから、よっぽどじゃない限り仕事では差がつかないの。仕事で差をつけようなんて無理だし、誰がやっても一緒だから。この会社で出世したいとか、海外駐在したいとか、バリバリ働きたいと思ったら、飲み会しかないんです」
入社1週間目の衝撃的な出来事だった。
その後も会社の飲み会は月に10日程度あったが、とても居心地がいいとは言えなかったという。宴会芸を強いる上司。「脱げ!」と言われたらその場で脱がざるをえない空気。「一気飲み」を張り切ってコールする人たち。
さらに新人は、その場で今の目標を宣言させられる。仕事の目標を掲げる人もいれば、「今年は絶対彼女作ります!!」と自ら一気飲みをし、「いいぞ!いいぞ!」と上司が喜ぶ。
「飲み会は、いわゆる人事評価の場なんです。上司にいかに面白いやつだと思わせるか。上司に気に入られるか。もちろんそれもある程度はわかります。でも、度が過ぎているというか、飲み会にかける比重が高すぎて……」
酒が進むにつれて下ネタが飛び交い、女子社員へのセクハラが平然と行われた。2次会が終われば、男性社員だけでキャバクラか、いかがわしいと言われる店に行くコースが多かった。
会社の飲み会がすべて悪なわけではない。あえて偉い上司がいる場に連れて行ってくれて、会話をする場を設けてくれた先輩もいた。
しかし、大半は異様な空気の中で酒を飲み、最後まで付き合わないと翌日個室に呼ばれたりするシステムだ。
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