BTSのRM語る「アート業界のために僕ができる事」 アートの世界でも一目置かれる存在に

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RMは自分の将来について思いをめぐらしている。兵役が目前に迫っている(メンバーたちは現在ソロ活動に時間を費やしているが、所属事務所はBTSが活動休止中でないことを強調している)。

数カ月前、RMはアート・バーゼルのポッドキャストで、グローバルディレクターのマーク・シュピーグレルに、アートスペースのようなものをオープンしようと考えていると話した。ベルギー人のデザイナー、古物収集家、ギャラリストであるアクセル・ヴェルヴォールト(RMの音楽的インスピレーションの源であるカニエ・ウェストのお気に入りでもある)の名前を挙げて、「本当に静かで穏やかなものにしたい。でもアクセルみたいにクールでなければならないんです」と話した。

そのスペースはまだ先だが、RMは1階のカフェとその上の展示スペースで、韓国と海外のアーティストたちの魅力を若者に示したいと考えている。「アート業界の人間ではない僕が提供できるものがあると思います」と彼は言う。

(写真:Dasom Han/The New York Times)

ユン・ヒョンクンの世界にどっぷり

アート業界の人間ではないと主張できるのは、それほど長い期間にはならないかもしれない。RMは最近、ロニ・ホーンによる、鋳込ガラスでできた半透明の白色のシリンダーをコレクションに加え、美術専門家として認知されつつある。

前述のソウルの有名ディーラー、パクによると、彼女のギャラリーが所蔵していない、美術家ユン・ヒョンクンに関するテキストをRMが発見したのだという(彼女はユン・ヒョンクンの遺産の代表者であり、RMに出会う数年前にBTSのファンになった。「YouTubeでBTSのことを勉強するようになりました」「コンテンツが多すぎて、彼らのことをよく知るには本当に長い時間がいるんです」)。

RMが語ってくれたように、ユンは壮絶な人生を送った。政治的な理由で4回投獄され、かろうじて処刑は免れた。40代になって、希釈されたインクのようなアンバーやブルーの塗料を、リネンやキャンバスに大きく広げて、瞑想的な絵画を制作するようになった。「それは、西洋と東洋、アジア、あるいは韓国との完璧な融合なんです」とRMは語る。

彼のどの年代の絵が好きなのだろうか?「最初は彼が1970代に描いていたものに惹かれましたが、今は彼の世界、彼のアート作品、彼のすべてにどっぷりハマっています。もう客観的にはなれないのです」とRMは答えた。「それを人はファンと呼ぶのですね」。

BTS、RM
(写真:Danom Han/The New York Times)

(執筆:Andrew Russeth記者)

(C) 2022 The New York Times 

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