24時間テレビ「二宮和也ら4人起用」の画期的意味 番組とジャニーズの「歴史」も振り返ってみる

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とはいえ、前2回のケースと異なり、「ジャにのちゃんねる」の4人はユニットとしてここまで動画を共同制作しており、グループ的な側面もある。その意味では、個人とグループの中間形態というユニークさがある。

「ジャにのちゃんねる」が担う役割

だがそれ以上に、彼らの起用のなんといっても新しい点は、インターネットでの活動が評価されたことだろう。とくに『24時間テレビ』は、その歴史の厚みという意味でも、また番組のスケールの大きさという意味でも、現在のテレビを代表する番組と言っていい。

そこにYouTubeでしか基本的に活動していない「ジャにのちゃんねる」が起用されたことは『24時間テレビ』史上初であり、想像以上に画期的なことだ。

そのことを踏まえた当日の注目ポイントは、4人がいかに「ユルさ」を出せるかというところだろう。彼らの動画の面白さは、YouTubeならではのリラックスした雰囲気にある。一方で、『24時間テレビ』には、緻密な進行スケジュール、そしてチャリティーというきっちりとした目的がある。

つまり、「ジャにのちゃんねる」にとって、ネットならではの自分たちの自然体の魅力を維持したまま、『24時間テレビ』という番組にどう貢献するのかというテーマ、大きく言えば、ネットとテレビをどう橋渡しするのかというテーマがあるように思える。それは、これまでのジャニーズパーソナリティーになかったような挑戦だろう。

ただ、それも余計な心配なのかもしれない。「ジャにのちゃんねる」で配信中の「ジャにの24」と題した一連の動画では、『24時間テレビ』本番に向けたプロモーションや準備の舞台裏が映し出されている。それらを見ると、4人がそれぞれの経験値をもとに、ネットとテレビの違いを意識しながら最適な答えを探っているのがよくわかる。

こうした動画を事前に見ておけば、視聴者としてもより本番を楽しめること請け合いだ。普段はあまりテレビを見ないような若いYouTube世代の関心を引くこともあるだろう。番組での彼らに期待したい。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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