五輪不正疑惑のAOKI、間際に相次いだ「唐突人事」 逮捕直前に創業者や事業会社社長が突如退任
東京地検特捜部は8月17日、大会組織委員会の元理事である高橋治之氏と、拡憲氏、寶久氏、そして事業会社のAOKI元社長で、AOKIHDの専務執行役員である上田雄久氏を逮捕した。
高橋氏の逮捕容疑は、東京五輪・パラのスポンサー契約などで「有利な扱いを受けたい」というAOKIHD側からの依頼を受け、その見返り金として計5100万円を自身が代表を務めるコンサルタント会社の口座に入金させた疑い。AOKIHD側の3人には、高橋氏に対する贈賄の疑いが持たれている。
上田氏は2004年にAOKIHDへ入社した後、店舗勤務を経て本社の社長室に配属。2020年には、38歳の若さでAOKIの社長を任された。2022年6月29日に開かれたAOKIHDの株主総会にも事業説明のため登壇し、「スーツを創る力と販売する力の2つの強みを生かし、今の時代に合った新戦略を展開する」と意気込んでいた。
ところが7月11日、上田氏がAOKI社長を同日付で辞任し、AOKIHDの専務執行役員に異動するという唐突な人事が発表される。異動の理由について、会社側はリリースで「AOKIHDの体制強化」や「商品を中心とした組織体制の構築」のためと説明。五輪の不正疑惑をめぐる報道が出たのは、そのおよそ1週間後のことだった。
疑惑について会社側から詳細な説明はなし
AOKIHDは逮捕に際して「本件事態を厳粛に受け止め、当局の捜査に全面的に協力していく」とのコメントを出した。ただ、捜査中ということもあり、不正疑惑について会見や詳細な説明は行っていない。そのため6~7月の役員人事に今回の騒動が関係したかどうかは不明だ。
AOKIHDは2018年10月に東京五輪のオフィシャルサポーター契約を結び、2019年8月から公式ライセンス商品の販売を始めた。同年11月には、日本代表選手団が開会式などで着用する公式服装も手がけることを発表している。
一部報道によると、拡憲氏は個人的なつながりがあった高橋氏に対し、公式商品を承認するための審査の迅速化やスポンサー料の減額などの要望を伝えていたという。一方の上田氏は、細かな要望のとりまとめ役などを担った可能性があるという。