ロシア軍が欧州最大のウクライナのザポリージャ原子力発電所を占拠していることを受け、主要7カ国(G7)の外相は8月10日、ロシア軍はザポリージャ原子力発電所から軍をただちに撤退させるとともに、ザポリージャ原発およびウクライナのすべての原子力施設の完全な管理をウクライナに返還するように要求する声明を出した。
ロシア軍によるウクライナの原子力施設の占拠は、ウクライナ国民だけでなく、周辺地域、さらに国際社会全体にとって危険との認識だ。
また国際原子力機関(IAEA)は、ザポリージャ原子力発電所の現地調査を求めている。北大西洋条約機構(NATO)も同施設に対するIAEAの調査団受け入れを強く要求しており、NATOの懸念は過去最大といわれている。
これに対してロシア外務省高官は16日、キーウ経由の現地入りルートではなく、ロシアが指定したルートでの現地入りを求めた。理由は前線地帯やロシアが支配する地域をウクライナ軍に護衛された調査団が通過することに難色を示したからで、調査団派遣が実現するかどうかは不明だ。
ゼレンスキー氏とマクロン氏が電話会談
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、「原発を守るための決意が不十分なら世界は敗北する」「ロシアが国際社会の要求を無視するなら即時の行動が必要だ」と訴えた。
同日、ゼレンスキー氏はフランスのマクロン大統領とも電話会談し、ザポリージャ原子力発電所のロシア支配を「核のテロ」と断定して議論したことを明らかにした。
詳細は明らかにされていないが、フランスの原発施設の安全管理には定評があり、フランスにザポリージャ原発の情報提供をすることで、協力要請した可能性もある。フランスは当初からハイレベルでウクライナを支持し、とくに対ウクライナ技術支援計画に積極的に貢献しており、ザポリージャの現地に専門家を派遣する必要性を改めて表明している。
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