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幻の大連立構想に関与、「ミスター大蔵省」の実像 「10年に一度の大物」と呼ばれた官僚、齋藤次郎

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「秘録 齋藤次郎」倉重篤郎著
秘録 齋藤次郎 最後の大物官僚と戦後経済史(倉重篤郎 著/光文社/1650円/248ページ)
[著者プロフィル]倉重篤郎(くらしげ・あつろう)/毎日新聞客員編集委員。1953年生まれ。東京大学教育学部卒業後、毎日新聞社に入社。2004年に政治部長、11年に論説委員長を務める。著書に『国会は死んだか?』『住専のウソが日本を滅ぼす』(いずれも共著)、『小泉政権1980日(上・下)』『日本の死に至る病 アベノミクスの罪と罰』など。

2007年、自民党は参院選で惨敗し、第1次安倍晋三政権が短命に終わった。続く福田康夫政権も難しい国会運営を強いられる中、世間をアッと驚かせたのが、小沢一郎代表率いる民主党との大連立構想だった。第一党と第二党が連立して合わせて8割もの議席を占める構想である。政権交代可能な政治を求めてきた世論は反発、政権交代をうかがっていた民主党の多数派も拒絶して、この構想は霞のごとく消えた。

だが、なぜこの構想が秘密裡に実現間近まで進行したのか。現在では、福田と小沢の間に森喜朗が、そして読売新聞グループのドン・渡邉恒雄が介在していたことが知られている。さらに、関与が噂されながら実態が不明だったのが、ほかならぬ齋藤次郎である。

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