夏休み明け直前「子どものSOS」はこうして現れる 始業式までのつらいカウントダウン

拡大
縮小

AさんとBさんに共通している「夏休みの宿題が終わらない」というのは、子どもが発する大事なサインです。宿題の量がたんに多すぎるということでなく、「宿題をしようとしても手につかない」という場合、これこそが子どもからのSOSだと私は考えています。「このまま不登校になっては困る」と思い、なんとか宿題を終わらせるよう働きかける親もいるかもしれませんが、それでは子どものSOSを見落としてしまうかもしれません。子どもが「学校へ行きたくない」と言ってきたり、宿題が手につかない場合、それは限界を知らせる合図です。親はどうか、その子どもの訴えや言葉にならないSOSを受けとめて頂き、無理をさせないということを第一に考えていただければと思います。

2学期から行く 約束の背景には

つぎに、すでに不登校をしている子どものなかには「2学期から登校してみる」と言う子もいます。親と約束を結ぶ子もいます。そうした発言、約束の背景には「心機一転、がんばりたい」という思いもありますが、「学校へ行かなければ」という焦りがあることがすくなくありません。この場合、さきほど紹介したBさん同様、今この瞬間、始業式までの残り日数をつらい気持ちでカウントダウンしているかもしれません。

北海道函館市でフリースクールを運営している庄司証さんは「親は自身の経験から、休み明けに学校へ行くことがそれほどまでにつらいことだろうかと感じるかもしれない。しかし、本当に子どもはそれほどまでにつらいのです。親だからこそ紡ぎ出せる温かい一言を伝えてほしい」と言います。

夏休み明け前後のこの時期は、子どもの自死が1年でもっとも多くなる時期です。たしかに、学校は大切です。しかし、それ以上に大切なのは、子どもの命です。子どもの未来と地続きにつながる子どもの今を大事にするためにも、子どものSOSに耳を傾け、無理をさせないための声がけ・対応をすることを大事にしていただきたいと思います。(編集局・小熊広宣)

不登校の関連記事
親から承認されたかった 優等生の私に起きた挫折と不登校
支えになった対応は 小6で不登校した私の教育支援センター体験記
不登校の約1割が通う公的施設 教育支援センターとはどんな場所か

不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

公式HP 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT