今回、披露されたのはロールス・ロイスのコーチ・ビルト部が制作した「ボート・テイル」の第2号車だ。
コーチ・ビルド部とは、注文生産のワンオフ・カー、フューオフ・カー(1台でなく数台作られるもの)を企画・製作する部門であり、前述のビスポークよりさらに希少なモデルを手がける。
顧客はコーチ・ビルド部門の担当者、またはロールス・ロイスのCEOであるトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏と膝を突き合わせて、どんなモデルを作るかを決めるのだ。このボート・テイルは、コーチ・ビルド部における2番目のプロジェクトとなり、同じボディ形状は3台のみが作られるという。
アンヴェールされたボート・テイルは、何というか“自動車という枠を超越した存在”に感じた。
コモ湖畔でお披露目された意味
フロントにはローズ・ゴールドのスピリット・オブ・エクスタシーのマスコットが佇み、ボディラインになめらかに溶け込む削り出しのパンテオン・グリルが存在することで、ロールス・ロイスの存在感を魅せる。
それと同時に、そのシャープなスタイルと絶妙なボディカラーが、背景にあるコモ湖畔のテラコッタ(素焼き)の屋根の色に溶け込んでいる。
「そう、この場所こそがこのボート・テイルのデビューにふさわしいと、あえて選んだのです」とエトヴェシュ氏。「なるほど、ここまでこだわるか」と感服する。それほどに、ボディカラーは繊細だ。
「ボディパネルは、すべて熟練した職人がアルミパネルをハンマーで叩き、ハンドメイドで仕上げます。塗装は、満足いくまで幾度となく行います」とは、コーチ・ビルド・デザイン トップのアレックス・イネス氏。
彼はその才能を買われ、顧客との対応から最終仕上げまで、カーデザイナーの範疇を超えた仕事をこなす。彼はこのボート・テイルの基本骨格となっている「ファントムクーペ」の開発も担当しているから、まさにこのボート・テイルのデザイナーとしてうってつけだ。
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