自動運転や電動化、バイク新時代への先端技術 4輪以上に難題の多い次世代2輪に向けた開発

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2輪電動車用システムマネジメントユニット
2輪電動車用システムマネジメントユニット(筆者撮影)

2輪電動車用システムマネジメントユニットは、ライダーの操作と車両状態に応じてモーターのトルクを演算し、パワーコントロールユニットへ指示を行う機能を持つ。また、車両搭載ユニットを起動する電源制御や、盗難防止装置・灯火器類などの補器類の制御、充電器制御なども可能だ。非常に多機能で、多チャンネルの出入力を持つことで、さまざまなタイプの電動車両に使用できるという特徴を持つ。

2輪電動車用バッテリーマネジメントシステム
2輪電動車用バッテリーマネジメントシステム(筆者撮影)

2輪電動車用バッテリーマネジメントシステムは、電動バイクに搭載するリチウムイオンバッテリーの電圧や電流、温度情報からバッテリー監視を行うコントロールユニットだ。セル電圧センサー、バッテリー状態管理、漏電センサーを備え、高精度な管理を行うことで、バッテリーの性能を最大限に引き出し、電動バイクの航続距離を延長させるなどのメリットがある。

日立アステモの開発担当者によれば、これらユニットは、「4輪車と比べ車体が小さなバイクに搭載するため、いずれも軽量・コンパクトであることが必須」だという。また、バイク用のパワーユニットなどは、「シート下などライダーに近い位置に搭載されることが多いため、安全性も重要」だ。さらに、「ユニット自体が露出したまま装備されるケースが多く、雨風にさらされる可能性が高いため、耐久性も求められる」といった課題があるという。加えて、4輪車と比べ車体価格が比較的安いバイクの場合は、「(2輪車メーカーが求める)コスト面でもより安価にする必要がある」という。そのため、開発には、4輪車以上にかなり要件がシビアであることが多い。しかも現状では、電動バイクは一部の商用向けスクーターなどを除き、まだ実用化されている事例は少ない。ただし、将来的に多くのモデルが電動化される見込みが高いため、どれほど先行投資できるかもカギになるようだ。

4輪車とは違った課題も多いが日々進化する2輪技術

以上、安全性を高めるとともに自動運転の可能性まで感じられるホンダの技術、電動化を見据えた日立アステモの試みを紹介した。いずれも将来的なバイクの在り方や装備、性能などが見え隠れする技術だけに非常に興味深い。果たして、近未来のバイクはどのような姿や機能で我々を楽しませてくれるのか、今後に期待したい。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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