ソフトバンク孫正義社長「大反省会」の一部始終 ビジョンファンドで大赤字計上、止まらぬ逆風

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人材削減によって、市場が回復した際に再び投資を強化することはできるのか。孫氏は「せっかく作った組織や人材、彼らとの絆もあるので非常に辛い思いをしている。ただ半年で5兆円の赤字を出してしまった以上、コストダウンは必須だ」とした。

孫氏が意識するのは、財務の健全性だ。SBGが最重要視する指標に「LTV(ローン・トゥ・バリュー)」と呼ばれる、純負債の金額を保有株式価値で割った数値がある。この比率が通常時に25%、異常時でも35%を超えない範囲で投資活動を行うとしている。前四半期の3月末には20.4%まで膨らんだが、直近6月末には14.5%まで改善した(為替影響を除けば16.8%)。

保有株式価値は下落したが、その分借り入れの返済などで純負債を減らしたことで、財務健全性を示す「LTV(ローン・トゥ・バリュー)」の数値が改善した(記者撮影)

背景には手元流動性(現金やコミットメントラインの未使用枠)を大きく膨らませたことにある。2022年3月期は2兆~2兆7000億円の水準だったが、6月末時点では4兆6000億円まで積み増した。保有する中国アリババグループ株式やビジョンファンドの保有株を担保にした借り入れで大きく現預金を増やしたことが影響している。逆風の中、手元の資産で何とかやりくりしている状況だ。

「ユニコーンの冬の時代が続く」

「(投資の)冬の時代がどれくらい続くかはわからない。あと3カ月かもしれないし、3年かもしれない。世界中でインフレが続き、各国の中央銀行が利上げに動いている。そうなると株式市場では売り込まれる。上場株は日々株価がつくが、未上場のユニコーンの経営者たちは自分の会社の価値を下げることを受け入れがたい。だから投資機会がますます減っている。上場企業よりもユニコーンの冬の時代がもっと続くと思っている」

孫氏は先が見えない現状をそう語る。次なる“希望”は、傘下にあるイギリスの半導体企業、アームの株式上場だろう。今回の会見ではアームの好調ぶりをスライド1枚で述べるにとどめた。それまでは暗い冬を静かに耐え忍ぶしかない。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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