米FOMCが2会合連続で0.75ポイントの利上げ決定 米経済は現在リセッションには陥っていないとの認識
米連邦公開市場委員会(FOMC)は26、27両日に開催した定例会合で、主要政策金利を前会合に続き0.75ポイント引き上げることを決めた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、次回9月会合でも同様の利上げを実施することはあり得ると発言。また米経済は現在リセッション(景気後退)には陥っていないとの認識を示した。
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高進するインフレを抑えるべく実施した今回の利上げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは2.25-2.5%となった。6月の前会合と合わせると利上げ幅は1.5ポイントとなり、ポール・ボルカー氏がFRB議長だった1980年代初め以来の大幅利上げとなった。
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パウエルFRB議長は会合後の記者会見で「次の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切となり得る」が、判断は今から次回会合までのデータ次第だと述べた。
また、いずれ利上げペースを落とすことになるとした上で、次の利上げ幅に関して明確なガイダンスを示すのではなく、政策は会合ごとに新たに設定されると説明した。
金融市場はこうした議長の発言に反応し、会見中に株は上げを拡大し、国債利回りとドルは大幅に下げた。
FOMCは会合後に発表した声明で、委員会は「インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」と改めて表明。「インフレリスクに細心の注意を払っている」と説明した。また「誘導目標レンジの継続的な引き上げが適切になると見込む」との文言も繰り返し、目標の達成を妨げ得るようなリスクが出現した場合は政策を調整するとした。
今回の政策決定は全会一致だった。会合ではバーFRB副議長(銀行監督担当)とボストン連銀のコリンズ総裁が投票権を持つメンバーとして新たに加わった。
積極的な利上げは既に米経済に影響を与えつつある。影響が特に顕著に見られるのは住宅市場で、販売が減速している。
金融当局は経済のソフトランディング(軟着陸)を達成し、深刻な景気低迷は回避できるとの姿勢を崩していないが、一部のアナリストの間では物価の上昇ペースを顕著に減速させるためには失業の急増を伴うリセッション(景気後退)が必要になるとの見方が広がっている。