中国の不動産危機が招く鉄鉱石価格急落の恐怖 年前半の供給不足から一転大幅な供給過剰へ

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中国の不動産セクターをのみ込んだ危機で鉄鉱石市場が年後半に大幅な供給過剰に転じ、価格急落につながるとゴールドマン・サックス・グループは予想する。

26日付のリポートによれば、ゴールドマンは現在、中国本土の不動産市場の弱さと国外鉄鋼需要の急減速を反映し、年内の鉄鉱石市場について6700万トン相当の供給過剰を予想。年前半の5600万トンの供給不足から状況が一変すると見ている。

ゴールドマンはまた、3カ月の価格目標を1トン当たり70ドル(従来90ドル)、6カ月の目標を85ドル(同110ドル)に下方修正した。鉄鉱石市場の今の苦境は2021年に見られた状況より長引く見通しだが、1トン当たり38ドルの安値を付けた14-15年の弱気相場ほど悪化する可能性は低いとの見方も示した。

約1年前に始まった不動産セクターの過剰債務への政府の締め付けはここにきて本格的な不動産危機と化しており、住宅購入者が未完成物件のローン返済を拒否する事態も発生している。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、住宅ローン危機に見舞われた不動産開発業者の救済に政府が早期に乗り出すと期待する投資家は失望する可能性が高い。「政府はモラルハザード(倫理観の欠如)を助長しかねない救済のような措置を講じたがらない」ためだという。

 

原題:

Goldman Warns China’s Property Crisis Will Sink Iron Ore (1)(抜粋)

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著者:Bloomberg News

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