普通列車で本州横断、「磐越西線・東線」を乗り通す 郡山駅を境に、2線のカップリングの妙を楽しむ

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新潟駅はこの6月5日に在来線の完全高架切り替えを果たしたばかり。敷地上の制約から、2018年に2〜5番線が高架化された後に1番線を作る工程となり、そのため建設中の1番線を代替する仮設の8・9番線が前々日まで地上に残されていた。新しい1番線使用開始の前日は切り替え工事のために信越本線・白新線とも新潟駅付近は終日運休、バス代行輸送で対処した。そうして5日始発から使用を開始し、半身でエスカレータ・エレベータもなかった2番線ホームも1・2番線として完成した姿になったのである。

「とき301号」からの乗り継ぎは磐越西線直通8時27分発2230D馬下行きがスムーズだが、新潟駅の変化を見、この先おそらく不安に苛まれるはずの食料調達を再検討すると15分では足りない。結果、躊躇なく8時55分発の新津行きに鞍替えし、新津で1本後の9時32分発228Dを捉え、会津若松まで乗り通すことにした。

新型気動車“GV”で阿賀野川の奥へ

現在は新潟市秋葉区内となった新津駅は、信越本線・羽越本線・磐越西線の結接点で、非電化車両の基地が置かれ以前はキハ40系気動車、今は最新のGV−E400系電気式気動車が肩を寄せ合い、そこに「SLばんえつ物語」の客車も留置されている。肝心のC57 180は検修庫の中のようだ。そうした鉄道の要衝だが、朝の輸送を終えて列車が途絶える時間はホームも橋上駅舎も閑散としていた。

馬下に到着した会津若松行き228D。 新潟地区の非電化路線の顔となったGV-E400系はディーゼルエンジンから発電機を介して出力される電力でモーターを駆動する電気式気動車。2018年に先行車が登場し2020年まで にキハ40系を置き換え(写真:山井美希)

その一方、9時を回ってしばらくすると1番線にだけポツポツ人が集まり始め、30人少々を数えた時点で会津若松からの223Dが“GV”2両編成で9時27分に到着した。その編成が35分発228D会津若松行きとなる。ボックスは他人同士の相席はなく、そこに入りそびれた人がロングシートに間隔を空けて座る程度の乗り具合である。

新津は長岡方に頭を向けて発車、すぐに信越本線から分かれて架線も消え、遠く太平洋側に向きをただす。自動放送に続いて肉声で到着時刻を告げている。ふと気づけば、運転室の後ろに運賃箱はなく、ローカル線にしては珍しい車掌乗務の列車なのだった。

しばし地方なりの住宅地を進む。新関で行き違った4両編成は時刻表に載っておらず、1本前の馬下行きが引き上げてきた回送だった。その先はもう豊穣の田園地帯に出て正面に越後山脈を見据えて直進してゆく。かつて蒲原鉄道が出ていた五泉まで、今は新潟近郊区間でありICカードが使える。途中の小駅は上部に読み取り機を載せた簡易型改札機を立てているが、五泉駅には自動改札機がある。その五泉までで、車内の乗客数はもう半分以下になった。

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