ファストリがアナリスト予想上回る業績上方修正 アジア、欧州が好調、円安も円換算業績を押し上げ

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衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは14日、今期(2022年8月期)の営業利益予想を2900億円(従来予想2700億円)に、純利益を2500億円(従来1900億円)に上方修正した。ブルームバーグが集計したアナリストの予想平均をともに上回った。

ユニクロにかかるロゴPhotographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

21年9月-22年5月の第3四半期累計期間に円安が進んだことで、円ベースの業績が押し上げられたという。為替の影響を除いても、9カ月累計で過去最高の利益を達成した。

海外事業は、地域別で中国を除くアジア・オセアニアや北米のほか、ロシアを除く欧州が好調だった。中国は、3-5月にかけて新型コロナウイルス対策の行動規制で上海中心に最大169店舗が臨時休業した影響で、売り上げは大きく落ち込んだが、6月は回復傾向にある。

一方、国内事業は、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、外出ニーズにマッチした商品や、エアリズムインナーなどコア商品が好調だった。加えて粗利益率、販管費比率がともに改善したことで、大幅な増益を達成したという。

秋冬に予定する国内の値上げについて、岡崎健最高財務責任者(CFO)は14日の決算会見で、「価格に見合った価値になっているか、お値打ち感があるか、ここが重要」だとした。原料高などで経営環境は厳しくなっており、「秋冬に向けて緊張感を非常に持っている。楽観視はしていない」という。価上げによる売り上げ低迷を回避したい考えだ。

一方、同社は好調な業績を背景に通期の配当予想も引き上げた。従来280円としていた期末配当を340円に引き上げ、年間で620円とした。前期の年間配当は480円だった。 

同社は決算資料で、下期にパートタイム・アルバイトスタッフの時給を平均で約3%引き上げたことを明らかにした。この秋には、競争力のある給与水準にするために、 地域によっては10%から最大30%程度の引き上げを実施する方針。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 黄恂恂 xhuang66@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:岡田雄至 yokada6@bloomberg.net宮崎大

(会見での発言を追加して更新します)

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著者:黄恂恂

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