参院選「議席増えた党首にも笑顔なし」の複雑事情 日本維新の会、れいわ新選組も重苦しいムード

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背水の陣で何とか政党要件も確保し、自らも5回目の当選を決めた社民党。福島瑞穂党首は11日午前の国会内での記者会見で「政党要件を維持して、国会の中で社民党として頑張れることは本当にうれしい」と笑顔を見せた。ただ、政敵だった安倍氏とは1歳年下という年齢の近さもあり、「攻撃目標を失った」との喪失感による落胆は隠せなかった。

さらに、事前予測を覆して1議席を確保、政党要件も維持したNHK党の立花孝志党首は11日未明に公式ツイッターで「NHK党 大勝利!選挙区で2%超えました」と喜びを爆発させた。ただ「暴露系ユーチューバー」として著名なガーシーこと、会社役員の東谷義和氏の擁立という奇策によるものだけに、立花氏の表情にも前途への不安は拭えなかった。

安倍氏死去の国民全体への衝撃の大きさ

一方、安倍氏の死去を受け、民放各局のテレビ番組では普段のCMからACジャパンのCMに切り替わったことが注目された。「クライアントからCM放送中止の連絡が殺到した」(広告代理店幹部)ためだ。ネット上でもSNSでのCMがACに切り替わったとされ、まさに、安倍氏死去への国民全体の衝撃の大きさを立証した格好だ。

このため、11、12の両日の安倍氏の親族中心の通夜・告別式の大々的な報道ぶりも含め、政界では「選挙報道や各党党首らのコメントも含め、すべてが“安倍氏のお通夜”状態になった」(閣僚経験者)。安倍氏のことばかりに注目が集まっている現状を危ぶむ声も広がっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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