参院選「議席増えた党首にも笑顔なし」の複雑事情 日本維新の会、れいわ新選組も重苦しいムード

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これに対し、改選6議席から倍増の12議席を獲得し、比例代表でも立憲民主党を上回る得票で8議席を得たのが維新だ。本来なら、「笑顔の会見となるはずだった」(党幹部)が、松井代表の表情も暗かった。

選挙前に掲げた目標をクリアする一方、最重点区と位置付けた京都(改選数2)や東京(同6)などでの敗北が原因だ。10日深夜、松井氏は記者団に「負けたのは僕のせい」と自嘲気味の言葉を残して去った。

松井氏は同党初代代表の橋下徹元大阪市長とともに、首相時代の安倍氏と緊密な関係を誇示してきた。それだけに、自民とのパイプ役ともなる安倍氏の死去は今後の維新の野党内での影響力低下にもつながる可能性も否定できないことへの不安が、松井氏の表情ににじんだ。

安倍氏と当選同期だった共産党の志位和夫委員長

議席を減らした共産党の志位和夫委員長は10日夜の民放テレビ番組で自身の進退を問われ「党大会で決めること。私は夢中でやってきた。22年務めているが、大会でまた選んでいくことになる」と厳しい表情で答えた。

志位氏は安倍氏が死去した8日、「同じ年に生まれ、衆議院当選も同期で、同時代を生きたものとして、とても悲しく、寂しい思いです」と沈痛な表情でコメントしており、立場の違いを超えた重苦しさに打ちひしがれていたのは間違いない。

共産党と同様に議席を減らした国民民主党・玉木雄一郎代表は「比例代表の得票数は昨年の衆院選から増えている。それはそれで評価すべきだ」と語ったが、笑顔を見せる場面はなかった。

一方、自らの当選も含めて目標の3議席獲得に成功したれいわ・山本代表の表情は注目の的だった。大激戦の東京選挙区での当選を決めた直後の記者会見で、山本氏は「一般的には万歳になると思うが、しない。これからがいばらの道だ」と、こちらも厳しい表情を崩さなかった。

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