参院選「議席増えた党首にも笑顔なし」の複雑事情 日本維新の会、れいわ新選組も重苦しいムード

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時系列で振り返ると、10日午後8時からの投開票で、各メディアなどの事前予測をさらに超える与党大勝が確実となった段階で、自民党本部に現れた岸田首相(党総裁)は、恒例の当選・当確候補への勝利のピンクのバラをつける儀式に臨んだ。

これまで自民勝利の際は、党幹部の拍手喝采の中、満面の笑顔でバラの花をつけるのが選挙の風物詩でもあった。しかし、今回の岸田首相は口を真一文字に結んで次々にバラをつけ、最後まで厳しい表情を崩さなかった。

バラをつける岸田首相(右)と高市早苗・自民党政調会長(左)(JMPA代表撮影)

一夜明けた11日午前にすべての選挙結果が確定。テレビメディアなどが、「勝って喜び、負けて涙する」各候補の明暗を伝える中、岸田首相は午後2時から首相官邸での記者会見に臨んだ。

冒頭発言で「暴力が突然、世界から愛された偉大なリーダーの命を奪ったこと、悔しくてなりません。安倍元総理の思いを受け継ぎ、とくに情熱を傾けてこられた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んでまいります」と沈痛な表情で切り出した。

また、安倍氏死去の政局への影響については「偉大な政治リーダーを失ったわけだから、さまざまな影響がある」と述べる一方、「今は戦後最大級の危機に直面している」「与党、自民党の結束を呼びかけていかなければならない」と強調し、硬い表情のまま会見場を後にした。

公明党にも与党大勝の高揚感はなし

岸田首相と与党党首としてタッグを組む公明党の山口那津男代表にも、笑顔はなかった。

首相会見に先立つ11日午後、官邸で与党党首会談を行った後、記者団に対し、参院選比例代表で改選7議席から1議席減らしたことについて「極めて残念だ。私の力不足を党員、支持者におわびしなければならない」と憮然とした表情で語った。与党大勝の高揚感はどこにもなかった。

議席を大きく減らした立憲民主党の泉健太代表は10日夜の記者会見で、「当然ながら責任を負う立場にある」としながらも代表辞任を否定。執行部の刷新についても「現時点で考えていることはありません」と硬い表情で語った。

ただ、同党内ではすでに参院選後の党運営を絡めた暗闘が始まっている。党内混乱回避のため、当面、泉代表の続投は容認するものの、秋の臨時国会までに党執行部人事の大幅刷新を求める声は高まるばかりだ。

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