一斉授業つらい、特定分野に顕著に高い能力ある「浮きこぼれ」の子と親の悩み アドバンス・ラーナー向けプログラムが日本に

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一方、「小学校に入って、理数系のテストが非常によくできるなど才能面は優れていたが、先生や友達とうまくいかないなど親がショックを受けるような問題を起こしてくるようになった」と話した保護者は、自身も子どもの頃に得意分野に偏りがあったり、同じ年齢の子に溶け込めずに学校がつらかった経験があったことから、子どもの個性に早い段階で気づくことができたという。

自身の経験から、学校は「画一的な日本の教育は避けたい」という思いで、幼稚園と小学校はモンテッソーリ式の自由度の高い学校に通わせた。さらにコロナ前は、香港でCTYのプログラムにも参加したという。

「中でも暗号理論のプログラムが面白かった。コンピューターサイエンスの科目だがコンピューターは使わず、工作で暗号機をつくってどんな原理かを探り、演算や暗号化を順番にやっていく。まずは手を動かしながら基礎理論を学び、最終的に社会のどこで使われているかがわかるようになっている。CTYは、学校の成績が上がるとか受験に役立つとかではなく、複雑な仕組みを一つひとつ分解して理解するのを段階的にやる。自分で考えながらやるから成功体験になるし、社会やいろんな学問との関わりもわかるようになる」

では、CTYのプログラムに参加するにはどうしたらよいのか。まずは、SCATなどCTYのアセスメント方法として認められている試験に合格する必要がある。合格すれば、今でもオンラインのプログラムならばいつでもどこからでも参加することができるが(小学校2年生から高校3年生までが対象)、試験を含めて英語のため、英語力が必須となる。

そこが大きな壁となるわけだが、来年度にEducation Beyondが提供するパイロットプログラム(小学3年生から6年生が対象、募集は50名程度)も英語の予定だ。オンサイトでバイリンガル講師が補助で入るというから検討しやすいかもしれないが、イベントでも日本語での提供が待たれる声が聞かれた。だが、日本語でCTYプログラムを受けられるようになるには、CTYプログラムを日本語で教えることができる指導者が必要だ。そこでEducation Beyondでは今後、教員のトレーニングなども視野に入れているという。

昨年、文部科学省でも、こうした特定分野に特異な才能のある子どもたちを支援するための有識者会議が立ち上がっている。一人ひとりの子どもに応じた教育を実現するという観点から、学校内外でできる特異な才能を持つ子どもへの支援策について検討が続いているところだ。困難な状況に直面している子どもたちに必要な支援が届くよう多様なプログラムがここ日本でも増えることが待たれる。

(文:編集部 細川めぐみ、注記のない写真:ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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