怪演で話題、松本若菜さんが信じてきた「言霊の力」 今年上半期もっともブレイクした俳優の一人に
――いくつかのインタビュー記事を拝読しましたが、松本さんには謙虚な印象があります。
尊敬できる方との出会いが、自分を引き締めてくれている面はあるかもしれません。
最初に感動したのが、故・大杉漣さんです。漣さんはスタッフさんや共演者はもちろん、エキストラの方々や近所のちびっ子たちにも、分け隔てなく接しておられました。近所の男の子とは、真剣にケンカしていました。「いまのは、きみの後出しじゃんけんだろう!」と、子どもに向かってじゃんけんのやり直しを求めていたんです(笑)。
大御所なのにおごり高ぶらず、ありのままの姿で接されるお姿が、目に焼き付いています。
――人柄に重きがおかれるのは、ビジネスの世界と変わらないかもしれません。
同じでしょうね。ビジネスでも俳優のお仕事でも、「この人なら応えてくれるだろう」と周囲は実力を評価し期待してオファーすると思いますが、同時に人柄も重視されているはずです。俳優であれば1つの作品で短くて1カ月、長くて4~5カ月間一緒にいて作り上げますので、いい作品に仕上げるには、信頼できる人であることは重要なのかと思います。
極限まで頑張ったのなら「ほどよい手抜き」も必要
――初主演ドラマ『復讐の未亡人』では、自殺した夫の職場に潜り込むITプログラマー・鈴木密/美月を演じています。その1話目で「仕事最優先なんてことありませんから。健康第一ですよ」という台詞があります。これは、松本さんの仕事に対する考え方と重なる部分はありますか。
おおいにあると思います。身体と心、どちらかがダウンすると結局、もう片方もダメになる悪循環に陥ってしまうと思うので。
日頃取材で「ストレス発散法は?」とよく聞かれますが正直、具体的な行動や方法は体得していません。ただ、事務所の先輩の言葉は指標にしています。「ほどよい緊張、ほどよい手抜き」です。
仕事は緊張やプレッシャーと隣り合わせですよね。ビジネスであれば、プレゼンや商談などいろいろあるかと思います。でも、「もう、いいか」と思えるほど極限まで頑張ったのなら、「ほどよい手抜き」は自分を追い詰めないための手段の1つではないかと。
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