韓国が日本との関係改善に動き出した納得の事情 元徴用工めぐる問題解決に向けて協議会発足

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このプロセスに関わってきた柳氏によると、被害者の弁護士はこの解決策を受け入れるという。彼らは日本企業と直接対話できるよう日本政府に要請しているが、政府は今のところ1965年の協定を毀損するとして拒否している。

韓国政府の狙いは、このロードマップと足並みをそろえることで尹大統領と岸田首相の首脳会談につなげることだ。しかし、そのためには岸田首相と日本政府も政治的リスクを負わなければならない。

2010年以来、公式訪問のない日本と韓国

韓国政府は、解決策への道を容易にするような日本からの何らかのジェスチャーを待っている。関係改善に対する日本の真剣な関心を伝える第一歩は、文政権との関係悪化時から課されたままの韓国への輸出規制を撤廃することである。もう1つは、慰安婦に関する河野談話と戦争責任に関する歴代内閣の声明の遵守を岸田首相が再確認することで「謝罪の態度」を示すことだ。

最も重要なのは、あらゆるレベルで通常の二国間会議を再開するための準備を整えることだろう。

驚くことに、2010年に当時の菅直人首相が訪韓して以来、日本の首相による国家としての韓国公式訪問は一度も行われておらず、2011年に京都で行われ悲惨な結果となった会合以来、韓国大統領による訪日もなかったということだ。

バイデン政権は、来るG20外相会議など別の行事の傍らで行う三者間会議を通じて三国間協力を推進する努力もしているが、これらはきちんとした外交に代わるものではない。アメリカが日本に対し、韓国からのアプローチにより真剣に対応するよう静かに圧力をかけるほうがより効果があるだろう。

「日本は、外相会議やハイレベルサミットへの準備を整えて受け入れる必要がある」と、韓国の元高官は語る。「日本がそうしなければ、韓国側の窓はいとも簡単に閉ざされてしまうだろう」。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)研究副主幹を務めている。クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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