またも「サイレント引退」東京メトロ7000系の足跡 1974年に初登場、有楽町線や副都心線で活躍

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7000系は地下鉄有楽町線の延伸や輸送力の増強に合わせて製造が続けられ、1989年までの15年間にわたって合計で340両、10両編成で34本が造られた。7000系の登場した頃は5両編成だったのだが、1983年に地下鉄成増(当時は営団成増)まで延伸した際に10両編成にしている。

製造期間が15年にわたったこともあり、改良を加えて製造が続けられた。内装の変更や冷房装置の搭載といった改良点があり、特に1983年以降に造られた車両では窓を大きくしている。このタイミングで5両編成から10両編成に伸ばしたため、横から見ると窓の大きさが不揃いになっていた車両が数多くあった。

また、7000系が登場した頃は、通勤電車でも冷房を取り付けた車両が広まりつつあったが、7000系は冷房を備えずに登場した。当時の地下鉄では、夏季を中心に駅やトンネル内の熱気の処理に悩まされており、車両に冷房装置を備えると、車両からの排熱を増やすと考えられていたからだ。

だが、先の1983年に造られた車両からは、冷房装置を取り付ける準備が行われていた。これは将来、西武線や東武線に乗り入れた際、乗り入れ先で冷房を使用するという考え方で、地下鉄で使用する考えではなかった。

もともと、7000系は排熱の少ない電車だったのだが、排熱の問題にようやくメドがつき、7000系の冷房車化が始まったのは1988年のことだった。冷房付の新車の導入も含め、7000系をすべて冷房付きとするまでに5年を費やしている。

副都心線開業で大変身

東京メトロの車両では、長期間使用する車両について車体や走行機器のリニューアルを行っていて、大規模修繕やB修繕などと呼ばれている。7000系も1994年からリニューアルが進み、1997年からは電機子チョッパ制御をやめてVVVFインバータ制御とするなど、走行機器にも手を加えた車両が現れた。

さらに7000系では、2008年の地下鉄副都心線の開業に際して大規模な改造が行われている。外観は地下鉄副都心線のラインカラーを入れてブラウン・ゴールド・白の3色のラインに改めた程度だが、地下鉄副都心線ではホームドアを備えてワンマン運転を行う関係で運転関係の機器は一新され、運転台はそっくり交換されている。

この改造は、地下鉄副都心線の開業をまたぐ形で2007年から2009年にかけて行われ、併せて10両編成から8両編成に短縮した車両もある。最終的には、10両編成6本と8両編成15本の180両を副都心線対応に改造した一方で、改造を行わずに廃車にした車両は7000系全体の半数近くもある。廃車された車両のうちの4本が海外に渡り、インドネシアのジャカルタで使用された。

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