明治安田生命、「金銭詐取1億円超」で広がる波紋 「営業職員指針」の策定で圧力強める金融庁

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明治安田生命の今回の事案で業界に波紋が広がったのは、そうしたちぐはぐな対応に加えて、営業職員の管理体制をめぐって、経営を監督する金融庁と業界各社の間で攻防戦を繰り広げている真っ最中だったからだ。

金融庁はかねて、金銭詐取といった不祥事の未然防止をはじめとして、営業職員の管理体制の高度化に向けてガイドラインの策定を業界に求めている。

一方で、業界は管理体制の高度化は各社が柔軟に対応すべきもので、「ガイドラインといった一律の取り決めで、全体最適をしようとしてもなじまない」(大手生保役員)として強硬に反対してきた。

金融庁が求める実効性のある取り組み

そのため金融庁はこれまで、業界の意向を一部くみ取って、管理体制の実態を把握するアンケート調査に対応をとどめて、「後は業界の自浄作用で改善が進むことを期待していた」(金融庁幹部)。

ただその期待もむなしく、第一生命の巨額詐取事件以降も、ジブラルタ生命保険やソニー生命保険、そして明治安田生命と不祥事が相次ぐ。

別の金融庁幹部は、「各社の自浄作用、自助努力に任せて、不祥事が起きるたびに“モグラたたき”を繰り返すのはもはや現実的ではない。管理体制の高度化に向けて、とにかく実効性のある成果物を業界には出してもらう」と怒気を含んだ声で話す。

がぜん不利な状況に置かれた生保業界は、巻き返すことができるのか。全国で24万人に及ぶ営業職員が固唾をのんで見守る中、今こそ自助努力を示さなければ金融庁の圧力は強まるばかりだ。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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