第一生命、営業職員「巨額金銭詐取」の深い闇 被害総額は20億円超に、全契約の調査実施へ
「当社の企業風土や体質そのものに問題があったと認識している。被害者の方々には深くお詫び申し上げる」
第一生命保険の稲垣精二社長は12月22日、東京・日比谷の本社で行った記者会見で、元営業職員等による一連の金銭詐取事案についてこう陳謝した。
会見では、山口県の89歳の元営業職員による約19億5000万円の巨額詐取事件と和歌山県の元営業職員による約6000万円の詐取事件に加えて、福岡県や神奈川県などで新たに3人の社員が契約者に不正を働き、金銭詐取を行っていた事実が明らかにされた。これまでに判明した被害者は59人、被害総額は約20億7000万円にのぼる。
2カ月で約700件の問い合わせ
被害の発覚が広がっている背景には、10月2日に山口県の元営業職員の金銭詐取事件が公表されたことで、それを見た契約者から「私も同じような事態になっていないか」など問い合わせが入っていることがある。同社のコールセンターには12月上旬までの約2カ月間で約700件の問い合わせがあったという。
12月の会見で稲垣社長は、「(今後も新たな不正が)発覚するかもしれない。もしわれわれが把握していないものがあれば、できるだけ早く表に出して解決したい」と語った。
同社の個人保険・個人年金保険の契約者数は約800万人。この全契約について、営業職員が金銭搾取などの不正が行われていないかの調査を行うという。今回発覚した事件と類似した手口で被害に遭っていないかどうか、契約者貸付制度や据置金の引き出しを利用した契約者を対象に調査する。
今回、第一生命で発覚した金銭詐取事案の多くは、「契約者貸付が(元営業職員に詐取された)資金の原資に使われていた」(第一生命の田口城・コンプライアンス統括部長)という共通の特徴がある。
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