松本明子さんの実家じまい「私のしくじり体験談」 50代で年に7回、四国に片づけに行く壮絶

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(撮影:梅谷秀司)

『空き家バンク』に登録して買い主が決まり、家の家財や遺品整理までの“締め切り”が3カ月後と決まっていたから、気力で踏ん張ることができたという理由も大きいです。

私は両親から具体的な意向を聞かずに家を相続した経験者だからこそ、伝えたいです。気軽に明るく話せるような家族イベントとして、親が元気なうちに話し合っておいたほうがいいと思います。「お父さんとお母さんがいちばん大切なものはなに?」とか「これは子どもにも孫にも引き継ぎたいものなの?」と、質問しておくと先々きっと役立ちます。

長年にわたる、地元のご近所さんと親戚の支え

──実家を売却するまでは、地元のご近所さんにもとても助けられたそうですね。

ご近所さんには、長年かなり甘えっぱなしでした。空き家になった郵便ポストの郵便物は数カ月に1度まとめて、私が住む東京に送っていただいたりしていました。合鍵もお渡しして、月に何回か部屋の換気や掃除もしていただいて。地元にいる親戚にもお願いして、部屋の換気と掃除もしてもらっていました。

うちの実家は、高松市の中心部から8キロ以上離れた不便な場所にあるんです。それを希望価格で売却できたのは、長年にわたる近所のみなさんや親戚の協力と支えがあったからこそだとしみじみ思います。

松本明子さんとご両親

──ご近所さんが助けてくれたのは、日頃の松本さんの対応が丁寧だからだったからではと想像するのですが、ご近所さんとはどんなお付き合いをされてきましたか。松本さんが人付き合いで気を付けていることはありますか。

大したことはしていないんです。季節ごとに手紙やハガキ、自分がおいしいと思ったお菓子をお送りするぐらいですが、「親しき仲にも礼儀あり」とは思っています。

その気持ちは芸能界に入って、右も左もわからない頃から親切にしていただいた方についても同じです。私は人脈が豊富なわけではなく、人数は少ないかもしれませんが、深く長くお付き合いさせていただいている方が何人かいます。秀ちゃん(中山秀征さん)や松村邦洋くん、久本雅美さんや高田文夫先生とは、連絡を1週間以上空けたことがありません。お互いにメールや電話をして、マメに交流をしています。

──その人脈で、ご両親の遺品を受け取ってもらえる先も見つかったとか。

母の着物や洋服が100着以上ありましたが、使えそうな着物は譲りました。昔から知り合いの、高松でスナックをしているママに送ったほか、劇団のWAHAHA本舗にも持っていきました。看板役者の久本雅美さんや柴田理恵さんに、「よかったら使ってください」と言って。撮影用の衣装をレンタルしている、東京衣裳さんにも送りました。テレビや映画の時代劇に着物は欠かせませんから、もし使えるものがあればと……。

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