学校で教えない「日本神話」現代にも影響力凄い訳 架空の物語だが、国のあり方を問題にしている

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アマテラスが祀られている伊勢神宮(写真:denkei/PIXTA)
神話の大きな特徴は、世界や人間のはじまりを含め、さまざまな事柄の起源について語るところにあります。日本の神話は「古事記」「日本書紀」に記されていますが、中学や高校の古文の授業で取り上げられることはほとんどありません。
ただ「神話には日本人らしさが示されている可能性がある。そう考えると、私たちが日本の神話に無知であることは、決して好ましいことではない」と指摘するのが、宗教学者の島田裕巳氏です。島田氏の新著『教養として学んでおきたい古事記・日本書紀』から一部抜粋・再構成し、神話の持つ意味を解説します。

神話、おとぎ話、伝説はどこで区別されるのか

神話とは神々の物語である。古事記でも日本書紀でも、とくに前半の部分は日本の神々の物語になっている。ただ、神々が登場する物語は、古事記・日本書紀に限られない。おとぎ話や伝説のなかにも、人間を超えた、あるいは人間と異なる存在が登場するものがある。

では、神話とおとぎ話や伝説はどこで区別されるのだろうか。次にあげる物語のなかで、古事記や日本書紀に含まれるものはどれだろうか。

・浦島太郎
・因幡(いなば)の白兎(うさぎ)
・海幸彦と山幸彦
・かぐや姫
・牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)

このうち、古事記と日本書紀に出てくるのがウミサチヒコ(海幸彦)とヤマサチヒコ(山幸彦)の物語で、古事記だけに出てくるのが因幡の白兎の物語である。浦島太郎の物語は日本書紀に登場するが、ウミサチヒコとヤマサチヒコの物語を下敷きにしているとも言われる。

古事記・日本書紀とかかわりがないのが、かぐや姫と牽牛・織女の物語で、かぐや姫は「竹取物語」に出てくる。牽牛・織女は中国の伝説だが、神話とされることもある。浦島太郎の物語も、中世から近世にかけて広く読まれた「御伽草子(おとぎぞうし)」にも含まれており、その点ではおとぎ話としても扱われていたことになる。

因幡の白兎やウミサチヒコ・ヤマサチヒコの物語も、それだけ取り出せば、伝説、おとぎ話に見えてくる。その点では、神話と伝説、あるいはおとぎ話の境界線はあいまいだということになる。

浦島太郎もそうだが、因幡の白兎やウミサチヒコ・ヤマサチヒコの物語が古事記や日本書紀に含まれているのだとしても、これらを神話の枠のなかに含めるには、何か物足りないところがあるような気もする。

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