近鉄の"夢洲直通"に必須、「複電圧車」の仕組み 電圧異なる区間を直通可能、国内各地で活躍中

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箱根登山鉄道はもともと小田原―強羅間の全区間が直流600V電化だった。しかし1950年に小田急の車両が小田原―箱根湯本間に直通するようになった際に、この区間を直流1500Vに昇圧。これに合わせて箱根登山鉄道の車両を複電圧車に改造した。なお、600V区間は1993年に750Vに昇圧した。

モハ1形の床下に搭載されている電力変換器。1500V用の接点と750V用の接点を回転させて切り換える(筆者撮影)
モハ1形の運転室に設置されている電力切り換えスイッチ。写真は750Vの状態となっている(筆者撮影)

箱根登山鉄道の車両は2006年3月以降、直流750Vの箱根湯本―強羅間のみで営業運転するようになった。だが、車両基地がある入生田は1500V区間にあるため、現在も複電圧仕様車が必要となっている。車両は急勾配が連続する750V区間で本来の性能が発揮できるよう設計されている。

1993年以前に製造された抵抗制御車のモハ1形、モハ2形、1000形「ベルニナ号」、2000形「サン・モリッツ号」は、750V用回路と1500V用回路を電力変換器で切り換える方式を採用し、モーターに入力する電圧を揃えている。運転台には切り換えスイッチが設置されている。

VVVFインバータ車は変換器いらず

VVVFインバータ制御の3000形・3100形「アレグラ号」は電力変換器を持たず、VVVFインバータ制御装置で対応している(筆者撮影)

一方、2014年以降に登場したVVVFインバータ制御の3000形・3100形「アレグラ号」は、直流をVVVFインバータ装置で三相交流に変換し、電圧と周波数を可変させながら出力する仕組みのため、入力した電圧にかかわらず、モーターを制御する電圧は変わらない。

そのため、これらの車両は複電圧用の特別な機構を搭載していない。

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