食品表示から「無添加」の表示が消えていく事情 自分で安全な食品かどうか見極める方法を解説

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現在、指定添加物が全部で472品目、既存添加物は357品目あり、それらの使用が認められています。しかし、その安全性はすべてネズミやイヌなどの動物によって調べられているだけです。つまり、人間で安全性が確認されてはるわけではないのであり、人間が食べて本当に安全かどうかは分かっていないのです。

しかも動物実験で一定の毒性が認められたにもかかわらず、添加物として使用が認められているものが少なくないのです。たとえば赤色2号(赤2)という合成着色料は、アメリカでは動物実験の結果、「発がん性の疑いが強い」という理由で使用が禁止されました。ところが日本では今も使用が認められています。

「人の健康を損なうおそれのない」とは言い切れない

また動物実験で分かるのは、がんができるか、腎臓や肝臓などの臓器に障害が出るかなど、かなりはっきりと分かる症状です。人間が添加物を摂取した際の微妙な影響、すなわち舌や歯茎、口内粘膜への刺激感、あるいは胃が張ったり、痛んだり、もたれたりなどの胃部不快感、さらに下腹の鈍痛、アレルギーなど、自分で訴えないと他人には伝わらない症状は動物では確かめようがないのです。したがって、指定添加物や既存添加物が、「人の健康を損なうおそれのない」とは言い切れないのです。

しかも人間が受けるそうした微妙な影響は、添加物が複数使われていた時に現れやすいと考えられます。しかし、動物実験では複数の添加物をあたえるという実験は行なわれていません。市販の加工食品には、いくつもの添加物が使われていますが、それら複数の添加物を摂取した場合の影響は調べられていないのです。

添加物にはこうした問題があるので、「無添加」と表示された製品を買い求める消費者が少なくないのです。また特に危険性が指摘されている保存料、合成着色料、発色剤、人工甘味料などが「不使用」と表示された製品を買い求める傾向にあります。

ところが、そうした表示を認めないというのは、現状を無視した、また消費者の立場や心理を考えない決定と言えます。今後、消費者としてはどのようにすればよいのでしょうか?

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