住友金属鉱山、「ニッケル大型案件」消失の舞台裏 事業化の撤退表明直後に中国企業が名乗り

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住友金属鉱山がフィリピンで操業するニッケル製錬プラント。ここで確立したHPALの技術がインドネシアのポマラでも活かされるはずだった(写真:住友金属鉱山)

海外の巨額案件をめぐって、まさかの展開が起きている。

非鉄大手の住友金属鉱山(以下、住友鉱山)は4月25日、インドネシアの中部にあるスラウェシ島ポマラ地区で計画していたニッケル製錬所建設(ポマラプロジェクト)の事業化検討の中止を発表した。

ニッケルは主にステンレスの原料として使われるが、近年は電気自動車(EV)用バッテリーの正極材料として注目を集めている。脱炭素に向けた需要拡大の期待から、ロンドン金属取引所(LME)では現在も1トン3万ドル付近という高値での取引が続いている。

事業化断念の公表直後に中国企業が名乗り

住友鉱山のニッケル生産量は、2021年度で8.3万トンと日本企業で断トツ。資源開発から製錬、電池材料まで自社で一貫して扱う事業連携に特徴があり、電池材料のニッケル系正極材でも世界で高いシェアを誇る。長期ビジョンではニッケル生産量を年間15万トンまで増やし、ニッケルで「世界の非鉄リーダー」を目指している。

そんな同社がポマラで事業化の検討を開始したのは2012年。コロナ禍の影響もあり、事業化調査に10年近い歳月を費やしたが、2020年代後半には年間4万トンのニッケル原料の生産が始まるはずだった。その投資は数千億円規模を予定する巨大案件で、次の成長戦略の柱となるはずだった。

それが突然の事業化断念。発表は驚きを持って迎えられたが、そのわずか3日後、1つのリリースに、関係者はさらに驚愕することになる。

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