ウクライナに侵攻したロシア対する一連の制裁発動を3月初めに発表した際、バイデン米大統領はホワイトハウスで行った演説で、ロシアの戦争継続を可能にする資金マシンに米国と同盟国が「強烈な打撃」を与えることを望んでいると語った。
しかし、ウクライナ侵攻開始から100日が経過しようとする今も資金マシンは至極順調に機能している。資源大国のロシアが得る収入は石油と天然ガスの輸出だけでも1日平均8億ドル(約1040億円)に上る可能性があり、戦争遂行の資金面の原動力となっている。
ロシアをのけ者とする先進諸国の制裁の下で、同国は無傷というには程遠い。西側の大企業が撤退し、多くが莫大(ばくだい)な資産を手放す中で、ロシア経済は深刻なリセッション(景気後退)に向かいつつある。
だが、プーチン大統領はこのダメージを今のところ無視することが可能だ。ウクライナ侵攻などに伴う国際価格急騰でかつてなく膨らむ商品輸出収入が国庫にあふれているからだ。
ロシア経済省の予測に基づくブルームバーグ・エコノミクスの推計によれば、一部の国・地域がロシア産エネルギーの購入を即時あるいは段階的に停止する状況でも、今年の同国の石油・天然ガス収入は約2850億ドル(約37兆円)に達する見通しだ。これは2021年の数字を20%余り上回る。
これに他の商品収入を合わせると、西側の制裁の下で凍結された外貨準備3000億ドルを埋め合わせて余りある。
ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショット上級研究員は「制裁の発動には常に政治的制約が存在する。対象国の痛みを最大化すると同時に国内の選挙区有権者の痛みを最小限に抑えることを望むだろうが、残念ながら口で言うほどたやすいことではない」と指摘した。
原題:
Russia’s $285 Billion Oil and Gas Bonanza Is Funding Putin’s War(抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:Fergal O'Brien
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら