いいかげん「仕事メールの無駄マナー」根絶しよう 経済衰退をもたらす「日本人の抜きがたい悪癖」

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しかし、前回の「『上司にしたくない人』ほど出世しがちな残念理由」という記事でも説明したように、私たちはすでに変化の激しい激動の時代に突入してしまっています。

このような激変が常態化する時代には、定型的な仕事はどんどん減っていきます。わずかに残されたそんな仕事も、遠くない将来にはAIやロボットにとってかわられ、人間には非定型の、未来を見通す仕事だけが残されるようになります。

あらためて言うまでもなく、そのような非定型の仕事には、「肩書き」や「ポジション」なんてまったく何の役にも立ちません。何よりも大切になるのは、「その人自身」の素養や資質なのです。

肩書き至上主義は百害あって一利なし

このような時代を生き抜いていくのに、権威を誇ったり、逆に権威に媚びたりする意味はまったくありません。ましてや、「肩書き」なんかを気にする必要は一切なくなります。代わって重要になるのは、相手を対等の「パートナー」と見なし、1人の人間として向き合う心構えです。

私はヘッドハンターとして30年以上活動し、数多くの世界的企業を率いるリーダーたちと直接お会いしてきました。その経験から断言できますが、世界的なリーダーの中で、肩書きを重視し、相手の肩書きによって自分の態度を変えるような「小さい人」なんて、ただの1人もいませんでした。彼らは皆、どんなに立場が違っても、相手を「自分と対等な1人の人間」とみなしていました。

しかし、特に「目下」とされる人がこのような価値観を持ち、本当に実践していると、日本ではいまでも「悪ガキ」的として否定的にとらえられてしまう傾向があります。

上司に生意気な口をきいた、取引先に遠慮なく反論した、飲み会の席で「粗相」を働いた――こんなことで責め立てられ、冷や飯を食わされるのは、かつての日本ではおなじみの光景でした。いまだにそのような風潮がはびこっている会社も存在するでしょう。

しかし、このような周辺からのネガティブな反応や、権威を恐れず我を貫く人こそ、前回の記事で説明した「悪ガキ的リーダー」の資質を持っていた可能性が高いのです。

私は、彼らのポテンシャルを見抜くことができず、むしろ能力を抑え込んでしまったことが、日本という国の成長の足を引っ張り、国力の低下を招く結果につながったと考えています。この見方、GAFAをはじめとする、悪ガキ的リーダーを擁した他国の企業の目覚ましい成長を見るにつけ、決して的外れではないと思えてなりません。

私のこの主張の是非はさておき、「肩書き至上主義」は間違いなく百害あって一利なしです。それを廃するためにも、まずは「メール宛名の無駄マナー」という小さなところから変えていきませんか? 今日はそれを皆様にご提案して、筆を置きたいと思います。

(構成:小関敦之)

妹尾 輝男 ヘッドハンター、コーン・フェリー元日本代表

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せのお てるお / Teruo Senoo

1975年、横浜国立大学卒業。ロンドン、バミューダ諸島、東京にて石油製品トレーディング会社に勤務した後、1988年、スタンフォード大学で経営学修士(MBA)取得。ベイン・アンド・カンパニーを経て、世界最大の人材組織コンサルティング会社コーン・フェリーに入社。

同グループで30年以上、主にグローバル・トップ企業のエグゼクティブ・クラスを対象に、ヘッドハンターとして第一線で活躍。その間、日本法人社長を9年間、会長を1年間務め、現在は特別顧問。ヘッドハントしたエグゼクティブの数は400人を超える。

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