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北海道新幹線「並行在来線」理不尽な廃止の裏事情 データを精査せず、強引にバス転換を決定

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  • 櫛田 泉 経済ジャーナリスト
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列車本数については、現行のおおむね1~2時間に1本のダイヤから、おおむね30分おきのパターンダイヤ化。これまで列車が通過していた余市町内と小樽市内の市街地に新駅を設置し、余市―小樽間の所要時間は22~26分。車両と乗務員はバス転換する長万部―余市から転換することにより確保。車両は旧型のキハ150形またはキハ54形としてJR北海道からの車両借入料を低額にしてコストを削減。気動車5両体制で列車の運行を行うというものだった。

また、同地区で運行する路線がすべて赤字の北海道中央バスについても、バス転換前倒しによる鉄道の赤字回避額を財源とした営業補償やバスの利便性向上のための投資を実施。鉄道との相乗効果を見越したバス路線の再編、それに伴う収益性の改善にも配慮する。

さらに、長万部―余市間の鉄道施設についても廃線となると最大で100億円以上の撤去費用がかかることから当面は休止として線路を残し、新幹線開業後に復活。現在構想中の貨物新幹線のフィーダー輸送路線として再活用する構想なども盛り込まれていた。

しかし、このプランが表に出ることはなく、結果として長万部ー小樽間全線の廃止前倒しの議論のみが一人歩きすることになった。

バス転換決定の根拠と専門家の指摘

個別協議の場では、観光入込客数の増加や多駅化・多頻度化、あらゆる手立てを講じたとしても大幅な収支状況の改善を見込めないことを理由に、バス転換が強引に結論付けられた。

余市―小樽間の鉄道存続にあたって必要な経費は、45億円に上る初期投資額と年間5億円程度の赤字額。30年間の累計赤字額は、鉄道の206億円に対してバスの赤字額がわずか18.1億円になることがバス転換決定の根拠となった。

余市ー小樽間に立ちはだかる鉄道問題

  • かつては函館本線(山線)の主力であったキハ150形 かつては函館本線(山線)の主力であったキハ150形
    (筆者撮影)
  • 国鉄末期の1986年、北海道に導入されたキハ54形 国鉄末期の1986年、北海道に導入されたキハ54形
    (筆者撮影)
  • 鉄道コンサルタントが提案していた余市町内の新駅構想 鉄道コンサルタントが提案していた余市町内の新駅構想
    (画像:ライトレール)
  • 鉄道コンサルタントが提案していた小樽市内の新駅構想 鉄道コンサルタントが提案していた小樽市内の新駅構想
    (画像:ライトレール)
  • 降雪のほぼない状態で運行されるJR北海道のラッセル車。 降雪のほぼない状態で運行されるJR北海道のラッセル車。
    経費は一晩で数十万円(小樽駅にて筆者撮影)
  • 余市町長の齊藤啓輔氏は元外務官僚という経歴を持つ 余市町長の齊藤啓輔氏は元外務官僚という経歴を持つ
    (筆者撮影)
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  • かつては函館本線(山線)の主力であったキハ150形
  • 国鉄末期の1986年、北海道に導入されたキハ54形
  • 鉄道コンサルタントが提案していた余市町内の新駅構想
  • 鉄道コンサルタントが提案していた小樽市内の新駅構想
  • 降雪のほぼない状態で運行されるJR北海道のラッセル車。
  • 余市町長の齊藤啓輔氏は元外務官僚という経歴を持つ

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【費用便益分析が行われず】

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