発売6年目、ダイハツ「ムーヴキャンバス」総括 販売面ではムーヴよりも上、その理由を探る

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スライドドアを採用したムーブキャンパス(写真:ダイハツ工業)
スライドドアを採用したムーヴキャンバス(写真:ダイハツ工業)

また、後ろのドアがスライドドアであるところも特徴のひとつである。たとえば、運転席側で乗り降りする際に、後席側のスライドドアを使って後席にまず荷物を置き、次に運転席に座る手順のとき、後ろのドアを開けるとき車道側へドアが出っ張る不安を解消できる。そのうえで、後席にそのまま荷物を置くのではなく、座席下に収納箱を設置し、走行中に後席上で荷物が転がる心配をなくすなどの配慮をしている。それでいて後席は前後に位置を調整できる。

明るいベージュ色の内装を選んだとき、心配になる汚れについては、簡単に脱着し、洗濯できるシートカバーを注文装備で用意しており、またカバーを用いることで、室内の雰囲気も変えることができるだろう。

ムーブキャンパスのインパネまわり(写真:ダイハツ工業)
ムーヴキャンバスのインパネまわり(写真:ダイハツ工業)

アルトラパンと異なる見栄えのダッシュボードまわりの造形だが、視認しやすく、操作もしやすいメーターやスイッチという設計思想は共通する。簡素でありながら使いやすい、一種の機能美といえるだろう。

軽やかさが際立つ自然吸気エンジン

ガソリンエンジンは自然吸気の1種類のみで、これにCVT(ベルト式無段変速機)が組み合わされる。前輪駆動の2輪駆動のほか、4輪駆動の選択肢がある。

自然吸気のガソリンエンジンは、スーパーハイトワゴンのタントと同じ性能だが、車両重量が10~20kg軽いことに加え、ハイトワゴンとはいえスーパーハイトワゴンより背が低いことから、発進から交通の流れにのせる速度まで、軽やかに加速していく様子が快かった。また、エンジン温度がまだ低い段階から滑らかにまわるようなエンジンオイルや添加剤などを活用し、振動や騒音を感じにくくすることで、上質さの実現にも気が配られている。そうした走行感覚が外観や内装の上質さとも合致し、軽自動車といえども特別な1台との印象を残した。

フロントウィンドウが比較的立った外観であることから、運転席からフロントウィンドウまでの距離がやや遠くなり、それによって窮屈さを覚えさせず、室内空間が広がるわけではないが、目に映る空間に解放感をもたらしている。その感覚は「MINI」に通じる。

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