ウォルマートなど小売り大手の在庫5.7兆円増加 需要急増と輸送目詰まりを受けて積み増したが

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大手小売業者は昨年、消費者需要の急増と輸送の目詰まりを受けて在庫の積み増しを急いでいた。ところが現在は、こうした在庫全てをどうやって処分すればいいか頭を悩ませている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、S&Pスーパーコンポジット一般消費財・サービス株指数の構成企業で、この2週間に決算を発表した時価総額10億ドル以上の企業が直近の四半期に積み増した在庫は計448億ドル(約5兆7000億円)と、前年同期を26%上回る。ウォルマートでは在庫費用が増加し、ターゲットとギャップは主要商品を値下げするなど、利益押し下げにつながった企業もある。

これまで消費者の購入額が減る中で小売り在庫が膨らむことは、景気減速やリセッション(景気後退)を示唆してきた。しかし、米商務省が27日発表した4月の米個人消費支出(PCE)はインフレ調整後ベースで3カ月ぶりの大幅増となった。米国民が買い続ける限り、港湾の混雑が今夏に悪化した場合には、十分に蓄えられた在庫が小売企業の追い風となる可能性がある。

  

ブルームバーグ・インテリジェンスの小売りアナリスト、ジェン・バータシュス氏は「ジャストインタイム方式は今では崩壊した。小売業者は従来よりも多くの在庫を抱えている」と指摘した。

小売業者への需要はなお十分だが、消費者の嗜好(しこう)は変化しつつある。メーシーズでは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に人気だったレジャーウエアや家庭用品ではなく、オフィス復帰や特別な場合のための衣料が多く買われた。変化のペースは予想より速く、消費者が欲しがらない商品が大量に残った。

つまり、メーシーズは需要が旺盛な商品のスペースを確保するためには、より動きの遅いカテゴリーで値下げせざるを得ないということだ。在庫が43%増加したターゲットのほか、ギャップとアバクロンビー・アンド・フィッチも状況は同じだ。ウォルマートのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)はアナリストに対し、在庫の伸びは喜ばしいとしながらも、2-4月(第1四半期)に32%増えたことについては同社が「望む以上の伸びだった」と認めた。

在庫が17%増加したメーシーズは、商品を早めに手元に置いておけば、主要な商戦期を円滑に進められるよう万全を期せると考えている。ジェフリー・ジェネットCEOは中国を遅れて出港した貨物船が米西海岸の混雑した港に向かえば、「サプライチェーンに嵐が迫る」と予想。そのため、新学期やホリデーシーズンに先立って、主要商品の出荷日を前倒ししているという。

原題:Walmart, Gap and Others Amass $45 Billion in Extra Stuff to Sell(抜粋)

More stories like this are available on bloomberg.com

著者:Brendan Case、Allison Nicole Smith

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