参天製薬が進める次世代育成プロジェクト、10年計画で従業員のニーズに対応


新制度の中で大きな成果があったものとして、4分の1年休制度の導入が挙げられる。始業後2時間(8:30~10:30)または終業前2時間(15:10~17:10)の固定枠で、年休が取得できる制度だ。小学生以下の子どもを扶養する従業員を対象に、年間最大12回まで利用できる。

「保育園からの呼び出しや、急病など子どもの突発的な状況に対応できることや、学校行事に参加しやすいようにすることが目的でした」(繁多チームマネージャー)。

この制度は、06年に年間400件以上の利用者があり、従業員のニーズの高さがうかがえた。

07~08年度の第二期に反響が大きかった制度は育児短時間勤務制度だ。小学生3年生以下の子どもを持つ従業員を対象に、勤務時間を30分、1時間、2時間短縮した6パターンの勤務形態の中から選択できる制度を導入した。育児期間中の従業員にとって負担の大きい朝夕の子どもの送迎を、スムーズに行うことができるようになった。

粘り強い説得で現場を説得

次世代支援を実施するに当たって課題もあった。

たとえば育児短時間勤務制度に対しては、生産性に影響を及ぼしかねないとして現場が難色を示した。制度実施のために、人事グループと現場責任者との協議が何度も行われた。現場責任者からも対策案を出してもらいながら、再三、話し合いを重ねた。

その結果、製造ラインで働く従業員が子どもの送迎のために勤務シフト途中で職場を離れた場合、戻って再度勤務することで折り合いがついた。制度利用者が職場を離れている間は、他の従業員が業務をカバーする。

09年から10年度にかけた第三期計画では、それまでに導入した制度の利用件数増加が目標だ。

「育児休暇の利用者は、ほぼ100%が職場復帰しています。また、4分の1年休制度は、全社員へと利用を拡大するなど全従業員へ向けた制度へと発展しています」(繁多チームマネージャー)。

今後は1つずつの制度について検証し、改善していく。たとえば、両立支援ブックレットの内容を見直すことや、育児休暇中の従業員に対し社内情報を提供することなどを検討している。

(注)くるみんマーク
次世代育成支援対策推進法では、事業主は、従業員の子育て支援のための行動計画を策定・実施し、その結果が一定の要件を満たす場合に、厚生労働大臣の認定を受けることができる。また、認定を受けた事業主は、認定マークを商品等に付けることができる。

(ジャーナリスト:町田雅子=東洋経済HRオンライン)

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