日本はなぜ「成長を諦めた国」になっているのか 過剰なコロナ対策も購買力を大きく削いでいる

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1~3月期のマイナス成長はオミクロン変異株の感染拡大を受けて再び政府が行動制限に踏み切ったためだが、個人消費はマイナスではなく横ばいにとどまり、今期の落ち込みをやや抑制した。これは意外であるが、オミクロン変異株の感染拡大は1~2月がピークだたっため、3月以降は行動制限解除を視野に個人が消費を回復させた可能性はある。

「もう、ポーズだけの行動制限措置にすぎない」と達観した人々が以前より自粛に協力しなくなっているという可能性もあろう。まん延防止等重点措置の期間も人出が減らないという報道が散見された。実際、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が提供する地域経済分析システム(RESAS)のデータを見ると、オミクロン変異株の感染者数急増とともにまん延防止等重点措置を発出したにもかかわらず、人流が顕著に抑制されていない現実も確認できる。

なお、5月16日には大手飲食チェーン店が時短命令をめぐり、東京都に損害賠償を求めていた裁判で、「命令は特に必要と認められず、違法」との判決が出ている。飲食店への時短命令も行動制限措置の一環だが、違法な命令を下してまで効果の薄い防疫政策を打つことを、東京都が今後は自重することに期待したい。

過剰な防疫対策で経済の自滅が続く

周知のとおり、まん延防止等重点措置は3月下旬に全面解除され、5月のゴールデンウィーク中の人出はかなりの程度回復した。GW前に警告が見られた「2週間後の感染拡大」は現時点では見られておらず、人流と感染拡大の因果関係はかなり怪しいものだと言わざるをえない。

このままいけば4~6月期は個人消費に牽引され、高い成長率に復帰できるだろう。エコノミストのコンセンサス予想である日本経済研究センターの「ESPフォーキャスト」によれば4〜6月期は前期比年率プラス5.18%まで加速する。

しかし、日本の過剰な防疫意識を前提にすれば、成長軌道はこの先も安定しないことになる。過去2年のパターンに従えば、仮に7~9月期以降に感染拡大が見られた場合、4~6月期の高成長を「気の緩み」と指差し、再び自滅的な低成長(行動制限)を選択する流れが想定される。その悪循環を脱却すべく現実的な政策を打つべきだが、「経済より命」路線に対する根強い国民の支持を踏まえれば、政府・与党もこの方針を変える理由がなく、同じことが繰り返される可能性は否定できない。

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