原油価格は「ロシア制裁厳格化」で上昇する可能性 G7の「輸入禁止」でも需給はあまり緩まない?
一方、エクソンモービルがアメリカの制裁措置発動を受けて撤退を決定しているサハリンの石油プロジェクト「サハリン1」では4月28日、アジア向けの石油出荷に関して不可抗力による契約不履行(フォース・マジュール)を発動した。
これらは、ロシアの生産がいよいよ本格的に減少してきたことを示す、一例に過ぎない。今後、制裁の影響が顕著になってくれば、生産もそれにつれて一段と減少しそうだ。
さらに、EUが段階的にでも禁輸措置に踏み切るなら、生産減少のペースが一気に速まることも考えられよう。中国は今後もロシア産原油の購入を継続しそうだが、インドに関してはアメリカからの圧力もあり、ロシア産の購入を躊躇するようになる可能性も十分に高い。IEAの推定のように生産の減少が日量300万バレルにとどまるのか、それともOPECが懸念するように生産停止が700万バレルにまで拡大するのかは、EUとインドの動向が大きなカギを握ることになりそうだ。
短期は1バレル=130ドルの節目が上値の目標か
それではこうした生産の減少を受けて、相場はどこまで上昇する可能性があるのだろうか。その際は、やはりこれまでの市場の反応や値動きが参考になる。2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、市場は3月に入ってから本格的に騰勢を強める格好となり、NY原油は3月7日に一時1バレル=130ドル台をつけるまでに値を切り上げた。
市場は何か大きな材料が出てきた際、まずは最悪の事態を想定してそれを織り込に掛かるものであり、その意味では、次に流れが大きく強気に転じた際、やはり130ドルが短期的な上値目標となる可能性が高い。
もちろん、原油相場を動かすのは、ロシアの生産動向だけではない。中東情勢不安にも十分な注意が必要、特にサウジやUAEと、イエメンの武装勢力フーシとの対立が続いていることが、今後新たな供給不安をもたらす恐れが高いと考えておくべきだろう。サウジアラビアやUAEの油田や生産施設がフーシのドローン攻撃を受け、一時的にでも生産が大幅に停止するようなことがあれば、1バレル=147ドルの史上最高値を更新してさらに値を切り上げる展開になることがあっても、何ら不思議ではない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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