自民「政治資金パーティー」が映す権力争いの内情 表向きは「総主流派」態勢も、交錯する思惑

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最も盛会だったのは二階派の翌日の安倍派パーティー。ホスト役の安倍氏は「岸田政権をあらゆる場面でしっかり支える決意だ」と主流派としての立場を力説。会場には各派幹部が集結し、最大派閥の威力も見せつけた。

岸田首相も、わざわざ開会時間前に顔を見せ、「自民党の宿願である憲法改正など大きな課題に向けて、安倍会長や皆さまに力添えをいただきたい」と最大限の気配りを示し、壇上で安倍氏と両手でグータッチして親密ぶりをアピールした。

そしてしんがりを務めたのが総裁派閥の岸田派。前日の安倍派と同じ会場で開催された会合には麻生、茂木両氏や遠藤利明選対委員長ら党幹部や派閥代表が参加し、それぞれのあいさつで「さすがは総裁派閥、これまで見たこともない盛会ぶり。(ウクライナ危機で)世界が喝采する決断をした総裁だからこそだ」(麻生氏)などと口を極めてほめたたえた。

これに対し、首相就任後も会長を続ける岸田氏は「新しい時代を切り開くには政治の安定が必要だ。参院選は何としても勝たなければならない」と訴えるとともに「総裁派閥であることに大きな責任を感じなければいけない」と派内の結束も求めた。

今回の各派パーティーはコロナの感染対策のため、コロナ前のような大規模な形式の開催はできず、いずれも参加者が着席するセミナー形式。このため、各派の実力者らが会場内を練り歩いて参加者と懇談する場面もほとんどなく、乾杯やガンバローの場面でも司会者が「声を出さずに心の中で叫んでほしい」と要請するなど盛り上がりに欠けた。

岸田首相の滞在時間が長かったのは?

そうした中で、すべてのパーティーに出席した岸田首相だが、顔出しのタイミングや滞在時間で差異を目立たせた。滞在時間が最も長かったのはやはり安倍派で約25分間。次いで麻生派と二階派が同じ約23分間。茂木派は約11分で、森山派はわずか約7分で退出した。

最も盛会だった安倍派は、同じ会場だった岸田派の「4倍以上の参加者」(関係者)で、最大派閥の集客力を見せつけ、茂木氏は「まるで党大会」と大仰な表現で持ち上げた。ホスト役の安倍氏は次々登壇する実力者と満面の笑みでグータッチを繰り返し、最強のキングメーカーとしての存在感アピールに腐心した。

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