蜜月一転「自民が維新を痛烈批判」の裏にある謀略 安倍・菅政権と様変わり、維新内対立もあおる
さらにここにきて、橋下氏が市長時代に決めた大阪市内の埋め立て地「咲洲(さきしま)」へのメガソーラー事業が、中国絡みで問題視されている。実質的に、メガソーラーを受注・運営しているのが中国企業の上海電力だったからだ。
事実上の国営企業とされる同社が、初めて日本に進出したのが咲洲。ネットでは連日、保守系とみられるグループを中心に、安全保障の観点からメガソーラービジネスへの中国の参入を問題視し、受け入れた橋下氏の責任を追及。これを受けて、ツイッターで「上海電力」がトレンドワード上位に入る炎上状態となっている。
政界が注目しているのが、この問題で橋下氏を攻撃しているのが、安倍氏のシンパとみられる保守系のジャーナリストの面々である点だ。一連の攻撃は、「メガソーラー事業は高い収益が見込まれるだけに、結果的に咲洲のメガソーラーは、巨額の利益を中国政府に貢いでいることになる」との指摘に基づく。
確かにメガソーラービジネスへの中国企業参入などが、当時の橋下市政下で決定されたのは事実。上海電力日本法人のホームページには、2014年3月16日付で「この事業は大阪市により招致いただいたもので、当社の日本における第1号太陽光発電所というだけではなく、大阪市にとっても最初の太陽光発電所建設となります」と掲載されている。
指摘に対し、橋下氏は5月10日にツイッターで「入札業者がきちんと入札条件を満たしていれば問題なし。入札で後の特定外国企業の出資を禁止するなら外資規制や経済安保推進法のような法律が必要。そもそも現在の日本は外資が土地を買うことも規制していない国」と手続きに問題がないことを強調。
さらに橋下氏は「入札の一案件に知事・市長が関与できるわけがない。巨大組織の組織内分業を経験したことのない連中が騒いでる。入札のどこが問題だったのか指摘せよ。日本では類似事案は探せば山ほどあるわ」と猛反論した。
政治不信を加速させる“政治的闇試合”
こうした橋下氏の対応に、ネット上には「きちんと説明する責任がある」との書き込みがあふれ、騒ぎは収まりそうもない。その一方で、関係者の間では「外国企業が日本国民の電力料金で儲けられる再生可能エネルギー振興策を政府が放置していることが問題で、橋下氏への攻撃は筋違い」との指摘も少なくない。
ただ、一連の橋下氏や維新への攻撃が「参院選に向けた維新の勢いを削ぐ結果につながっている」(選挙アナリスト)のは否定できない。しかも、橋下氏と親密だった安倍氏の周辺が橋下氏攻撃の拠点となりつつあることが、「この騒動の複雑怪奇な裏舞台」(自民長老)を際立たせている。
もともと政治に謀略はつきもので、とくに国政選挙の際にさまざまな怪情報が飛び交うのは「永田町の風物詩」(同)ではある。ただ、パンデミックにウクライナ危機という「戦後最大の国難」(岸田首相)の最中の“政治的闇試合”は、「結果はどうあれ、国民の政治不信をさらに加速させる」(首相経験者)ことは間違いなさそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら