冨山和彦氏、大学教員の「選民意識」にモノ申す

日本の大学教育は大多数者の役に立たない

――一方で、実学の知識は陳腐化しやすいという問題があります。

それは職業訓練バウチャーを出して、いつでも学校に入りなおせるようにすればいい。雇用調整助成金なんかにおカネを使わないでね。実際、海外ではMBAがそういう考え方です。2年の課程はもうはやらなくて、だいたい1年になっている。それで10年働いたらまた半年通うといった傾向に変わってきています。

なぜこれをバウチャーによる公的支援にすべきかというと、実学はある種の公共財だからです。もちろんアカデミックも公共財ですが、それだけが公共財と言うのはおごりですよ。念のため強調しておくと、僕はアカデミックに対する予算は増やすべきだとずっと主張してきました。ただし本当にトップに対してだけね。

教養・教育は大学の独占物ではない

――実学重視の教育では、教養を高める機会を奪う懸念もあります。

教養は大学でなくても、本でもインターネットでも高められます。大学の授業そのものが、ネット上で無償で公開されている時代です。一般教養は大学に閉じ込めるのではなく、むしろ万人に開かれるべきです。

週刊東洋経済2015年1月31日号(1月26日発売)では巻頭特集「G型・L型大学論争の深層」を掲載。冨山氏のGL案の深層がわかります(表紙画像をクリックするとAmazonの購入サイトにジャンプします

かつて聖書は聖職者の独占物でしたよね。カトリック教会に入ると絵が描いてあって、その絵を見ながら聖職者の説教を聞くしか聖書を学ぶ場はなかった。

でも、グーテンベルクが印刷術を発明したことで聖書と教養がすべての人に解放されたでしょう。それと同じことがネット革命で起きたのです。

七面倒くさい受験勉強をやって大学に入って、大学の近くに住んで、高い授業料を払って毎日通学して……そこまでしなければ教養を与えないというなら、それはかつてのカトリックと発想が同じ。教員が知識の独占者でいたいのでしょう。コアにあるのは、大学教員のものすごい選民意識だと思います。

なぜ大学教員が僕の提言にものすごく反発するかというと、彼らの中に上下があるからですよ。大学人は職業訓練なんか二流、三流のものだと思っている。そしてプロフェッショナルスクールで生きていける自信もないんですよ。

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