安倍、二階も窮地?衆院「10増10減」に自民党激震 自分たちで決めたルールなのにちゃぶ台返しも

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「1票の格差」の問題は、国政選挙のたびに民間団体などが各地の裁判所に提起する「違憲訴訟」とそれに対する判決を受けて、国会での是正が迫られてきた。それを踏まえ、2016年4月に与党として改正関連法案を国会提出、衆参両院で自民、公明などの賛成多数で可決・成立させた。

この法改正で新たに導入されたのが、都道府県ごとの定数を人口に応じて増減させる「アダムズ方式」だ。総務省の速報値によると、現在289ある衆院小選挙区の1票の格差は、人口最多の東京22区(57万3969人)と最少の鳥取2区(27万4160人)の間で最大2.049倍に拡大。この鳥取2区との格差2倍以上の小選挙区数は20に及ぶ。 

それにより、昨年6月25日にまとまったのが「10増10減」案。具体的には、東京都で5増、神奈川県で2増、埼玉・千葉・愛知各県でそれぞれ1増となる一方、宮城・福島・新潟・滋賀・和歌山・岡山・広島・山口・愛媛・長崎各県でそれぞれ1減となる。

これを受けて、当時の加藤勝信官房長官は「勧告を踏まえて速やかに必要な法制上の措置を講ずる」と言明。当時の大島理森衆院議長も「選挙制度は不断の見直しが必要」と改正を進める立場を明確にしていた。

ただ、定数減となる小選挙区の多くが保守地盤で、東京など大都市の小選挙区の定数増は「一般的に野党に有利」(自民選対)とされる。このため、定数減となる小選挙区の自民党議員らから「地方の切り捨て」との反発と不満が相次ぎ、自民所属全衆院議員の約6割の議員が見直しを求めて決起したわけだ。

山口は「安倍VS林」、和歌山は「二階VS世耕」に

中でも波紋を広げたのが定数1減となる山口、和歌山両県だった。山口では4区は安倍氏、3区は林芳正外相が当選した選挙区。林氏は昨秋の衆院選での参院からのくら替えで「次期首相候補」に躍り出た有力者。当然、両区の区割りが変わって新たな小選挙区となれば、元首相と首相候補が同区の公認をめぐって激突することになる。

その一方、和歌山は二階氏の地元だが、現在83歳の同氏は次回の衆院選で引退し、息子に選挙区を譲る考えとみられている。ところが、こちらも二階氏と地盤が重なる世耕弘成参院幹事長が「首相を目指すため、次は衆院にくら替えする」と明言しており、二階陣営とのバトルは避けられない。

当の二階氏は減員区となったことについて、メディアに「政府の方針は間違いがあるのではないか。地方には迷惑な話だ」と不満を隠さない。これに対し世耕氏サイドは「自ら決めたことは守るべきだ」と主張する。

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