5日間のタイ旅行で感じた会社員が行くハードル 2年1カ月ぶりに海外へ、現地の様子をレポート

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では、どのくらいの可能性で陽性となるのだろうか。少なくとも日本の空港で行っている抗原検査の結果については、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症の検査実績について(空港検疫)」というかなり詳しいデータを公開している。これによれば、最近どの国から日本に入国した人のうち、どのくらいの人が陽性だったのかがわかる。

バンコクの下町をつらぬく幹線道路(筆者撮影)

例えば、タイから帰国した日本国籍者の陽性率は、2022年2月下旬からの1カ月で約1.24%だった。気をつけなくてはならないのが、この入国者はすべて72時間以内にPCR検査を受けて陰性だった人だということである。

そのことから考慮すれば、タイ国内で陽性となり、日本に帰国できずにいる人がそれよりも多い割合であることが推察できる。結局、日本入国に際して検査がなくなるまで、会社勤めの人が安心して海外旅行に行けるとはいいがたいのが実情だ。

飛行機のドアが開いてから空港を出るまで3時間

帰国便のJL34便のチェックイン時の確認もあっさりしたものだった。スマホ画面の陰性証明書を目視で確認しただけで、別途用意していた日本政府が定めた書式の紙は見せる必要もなかった。それでも全体では書類確認に手間取っており、チェックインの行列では30分ほど並んだ。

帰国便は定刻よりも早い早朝5時44分にドアオープンとなった。だが一向に機外に出ることができない。早朝にもかかわらず、すでにこれよりも早く到着した便で羽田の検疫は混雑しているらしい。さらに100名以上いる国際線の乗り継ぎ便利用客が降りてからようやく降機となった。結局機外に出たのはドアが開いてから52分後だった。これから空港内で書類のチェック、抗原検査などのために、長い距離を歩くことになる。

結果的に空港を出たのはドアオープンから約3時間、降機から約2時間だったことになる。羽田は成田に比べると待ち時間は短いといわれ、3月には1時間半ほどですべて完了した事例も耳にしていたが、4月になり便数・利用客の増加に検疫の体制が十分追いついていない印象を受けた。

今後、さらに利用客が増えた場合、空港内で抗原検査を実施することは物理的に難しくなるのではないだろうか。変異株が入ってくるリスクが高い時期に水際対策を強化する意義は少なくないが、現時点でこの検査が本当にコロナ対策として有効に機能しているのかどうか、再検討すべき時期にきているのかもしれない。

橋賀 秀紀 トラベルジャーナリスト

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はしが・ひでき / Hideki Hashiga

東京都出身の50代。早稲田大学卒業。「3日休めれば海外」というルールを定め、ほぼ月1回の頻度で海外旅行に出かける。訪問国は130カ国。共著に『エアライン戦争』(宝島社)など。『週刊東洋経済』で「サラリーマン弾丸紀行」を連載した。Yahoo!ニュース エキスパート。記事の内容についてのお問い合わせ・取材の依頼などについてはこちらまで。

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