半導体不足だけでない「新車の納期遅れ」の真実 販売店の現場で聞いたメーカーそれぞれの事情
「メーカーの都合でゴルフの輸入が滞り、販売ランキングの順位も下がった。その一方でコンパクトSUVのTクロスや『Tロック』は、好調に輸入されている。納期は短ければ1カ月、長くても3カ月だ。そのため、ゴルフが待てないお客様は、TロックやTクロスに乗り換えることがある。Tクロスが輸入車販売ランキングの上位に入ったのは、そのためだ」
しかし、販売店によるとフォルクスワーゲンの納期が延びるのは、珍しいことではないようだ。「ゴルフヴァリアントの1年はさすがに長いが、新型車の場合、納期が半年程度まで延びることは頻繁に起こりうる」という。
では、「2021年度輸入ブランド別新規登録台数」でナンバーワンとなったメルセデス・ベンツはどうだろうか。販売店は、以下のようにコメントした。
「新型『Cクラス』の納期は、今は約8カ月だが、通常でも在庫車以外は6カ月を要する。新型コロナウイルスの影響だけで延びたわけではない。またSUVの『Gクラス』は、生産規模が小さく、メーカーは受注を停止している。日本ではお客様からの注文は受けているが、メーカーの対応が可能になった順番に納車していくため、今の時点で注文された場合、2年以上になると思う」
納期遅れで中古車がプレミア価格に
このように、納期遅延の理由はさまざまだ。よく聞かれる新型コロナウイルスによる「半導体不足」も嘘ではないが、不足しているパーツやユニットは多い。さらに国内需要の読み誤りにより、需要に対して日本仕様の生産台数が少なく、納期を遅延させている車種も少なくない。
その結果、ユーザー、販売店、メーカーが困り、さらにいえば中古車市場まで混乱させている。例えばランドクルーザーは、現行型の納期遅延によって先代型(200系)の中古車人気が高まり、高年式の中古車価格は800万~1000万円に達する。先代ランドクルーザーの新車価格は、最も高い「ZX」でも697万4000円だったから、新車価格を上まわるプレミア価格で流通しているわけだ。
トヨタのように社会的な影響力の大きなメーカーが、中古車市場を混乱させてはいけない。新型コロナウイルスの影響はいわば不可抗力ともいえるが、防ぐことのできる納期遅延もある。その背景には、さまざまな思惑が潜んでいるのだ。
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