マスク氏SECからさらに厳しい精査を受ける恐れ ツイッターの大量株式取得と取締役就任巡る開示で
米資産家イーロン・マスク氏はソーシャルメディアのツイッターの一株主から取締役に転じたことで、大口投資家に一段と透明な情報開示を要求する米証券取引委員会(SEC)からさらに厳しい精査を受ける恐れがある。
ツイッターを改革するアイデアを頻繁にツイートしてきたマスク氏は今週、大規模な株式取得について規則で定められた期限に遅れて情報開示した上、通常は受動的投資家向けとされる届け出でそれを開示したため、SECの精査を受けるリスクが浮上している。ツイッターはその後、マスク氏を取締役に起用。マスク氏は新たな提出書類で、筆頭株主として改革を提唱する方針を示した。
ゲンスラーSEC委員長は企業の株式を5%以上取得した投資家の情報開示ルール強化を推進し、透明性の向上を呼び掛けている。SECは2月、大量の株式を取得した投資家が情報開示する期限を現行の10日以内から5日以内に短縮する新たな規則案を発表した。
マスク氏の4月4日の届け出では、3月14日に同氏がその基準を超えたことが示唆された。翌5日の届け出には株式取得が詳述されており、その日に5%の基準を上回ったことを裏付けた。
オバマ政権下でSECの企業提出書類部門を率いた経歴を持つキース・ヒギンズ氏は、受動的投資家向けの書類「13G」や、積極的投資家向けの書類「13D」の届け出が少し遅れても通常はSECが訴えを起こす要因にならないかもしれないが、他の規則違反があれば、期限に遅れたことがSECの法執行弁護士による行動を駆り立てる可能性はあると指摘した。
ヒギンズ氏はSECがマスク氏の情報開示について検証するとの見方を示し、取締役就任について議論しているなら13Gは適切な届け出フォームではないとして当局が追及することは想像できると話した。
ツイッターのパラグ・アグラワル最高経営責任者(CEO)は5日、取締役会入りについて同社とマスク氏が今週の情報開示前に話したことを示唆していた。
SECはコメントを控えた。マスク氏に情報開示について取材を試みたが返答はなかった。ツイッターの広報担当はアグラワル、マスク両氏のツイートと同社の当局提出書類以上のコメントは控えるとした。ツイッター株は今週、30%以上の大幅上昇を演じている。
電気自動車(EV)メーカー大手テスラのCEOを務めるマスク氏は近年、SECと論争を繰り返している。SECは既に、マスク氏と同氏の弟が昨年のテスラ株売却を巡ってインサイダー取引に関するルールに違反したかどうかを調査しているが、マスク氏は否定している。
原題:Musk Risks Fresh SEC Fight on Disclosure After Twitter Rise (1)(抜粋)
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著者:Matt Robinson
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